暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第201話:燃える足跡
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ったのだ。だが決して嫌な気分では無く、寧ろ迷いが晴れて晴れやかな気持ちになる。

「本当、奏には敵わないな」
「ふふ〜ん! 翼がアタシに勝とうなんて10年早いっての」
「む、そう言う自分は颯人さんに敵わないくせに?」
「ぬなっ! そ、そこで颯人の名前出すのは卑怯だろッ!」
「フフッ!」

 気付けば非常にリラックスした顔で、奏とのじゃれ合いをする翼の姿に任務の合間の陣中見舞いで訪れたマリアも安堵の溜め息を吐く。

「生真面目な翼の事だから色々と悩んでるんじゃないかと思ったけれど、余計な心配だったみたいね?」
「そうですね。正直、何も出来ずに終わる事が悔しくはありますけれど」

 翼達のメンタルケアはマネージャーでもある自分の役目と自負している慎次としては、彼女達がリラックスしてくれている事は喜ばしいと同時に自身の不甲斐無さを感じずにはいられない。勿論、だからと言って嫉妬したりなどはしないのだが。

「この分なら大丈夫そうね。じゃ、私はこれで――」

 そのまま立ち去ろうとしたマリアだったが、その瞬間奏の目がキラリと光った。

「お〜っと、そうは問屋が卸さないぜマリア?」
「へ?」
「うむ。折角だから、な? マリア?」
「え?」

 気付けば翼と奏の2人に両肩を掴まれ、サングラスも外されていた。視界が開けた先に見えたのは、ものすごくいい笑顔をしたツヴァイウィングの2人。

 その笑みにマリアは目をパチクリさせながら冷や汗を流し、慎次はその様子をニコニコと笑いながら見ていた。




***




 南極で回収された遺骸は、そのままアメリカの聖遺物研究施設へと送られた。前述した通りS.O.N.G.の尽力で回収された遺骸の研究の権利を勝ち取ったアメリカは、F.I.S.の後釜となる研究機関で詳しく調べられる事が決まっており、移送までが任務だった彼らS.O.N.G.は役目を終え通常業務へと戻っていた。

 颯人達程ではないが、それでも戦いの無い平穏な時間。だがこの時間に対し、弦十郎を始めとした一部の者は違和感を感じていた。

「むぅ……」
「司令。あったかいものどうぞ」
「あぁ、あったかいものどうも。すまないな」

 発令所の背凭れに体重をかけ、小さく溜め息を吐く弦十郎にあおいがコーヒーを差し入れる。受け取ったコーヒーの温かさに束の間顔を綻ばせるが、それも直ぐに険しさを含むものへと戻ってしまった。

「ふぅむ……」
「悩み事か?」
「ん?」

 カップの中のコーヒーの水面に映った自分の顔を見ていた弦十郎に、何時の間にそこに居たのか輝彦が声を掛けてきた。その手には紅茶のカップが握られており、彼はそれを口に運びながら問い掛ける。

「当ててやろう。鎌倉が静かな事に違和
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