暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第201話:燃える足跡
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居たので、その事を面と向かって言われると反論出来なくなってしまう。

「……〜〜……ッ……」
「手袋して、休まず登校してくれてるし」
「言われてみれば、推薦で進学も決まっているのにね」

 学校に長く通っていなかったクリスではあるが、その成績は非常に良く既に推薦入学で大学への進学も決まっていた。故に正直に言ってしまえば、もうクリスは態々登校する必要が無い。
 これは透も同様であり、彼もまたリディアンとは別の学校でクリスと同じ大学への推薦入学を勝ち取っていた。共に成績は優秀であり、透に至っては人間性もあってか推薦入学自体は比較的あっさりと手にする事が出来たのだ。

 なので、もう2人は学校へ行く必要が無い。何なら平時は日がな一日一緒に居ても許されるくらいだった。しかし、2人はそうはせず共に毎日欠かさず学校へと通っていた。

「それはだなぁッ! アタシは、皆より学校に行ってないから……、その分をだな……。それに、透も学校には行きたいって言うし……その……」

 とまぁ、そう言う訳だ。本来学生として過ごす筈だった平穏な時間を、殺伐とした環境で過ごした分を埋めるべくこうして学校に通っていた。これは透と話し合って決めた事でもある。透に至っては半分死に掛けた状態で一時期過ごしていたのだ。その分の時間を少しでも取り戻してほしいと言う想いもあった。透は本来、もっど穏やかな時の中で過ごすべき人間だ。

 そんな事を考えながら、クリスは首に巻かれたマフラーの端をキュッと掴んだ。彼女の仕草に、響と未来は揃って笑みを浮かべる。

「フフッ、透君とお揃いのマフラーもつけて歩けるしね」
「いいな〜、お揃いのマフラー」
「〜〜……ッ」

 手袋が響と未来からの贈り物なら、マフラーは透からの贈り物であった。しかもこれは、透も同じデザインの物を身に着けて登校している。2人がそれぞれ別の学校に通っている為話題にならないが、もし2人が同じ学校に同じ時間に並んで登校する姿を見られたら軽く騒ぎになるだろう。

 響と未来から揶揄う様に指摘され、クリスは恥ずかしさに顔を赤く染めてマフラーの中に顔を埋めた。

 暫くはそんな穏やかな時間を過ごしていたクリス達であるが、不意にクリスはまだほんのり赤く染まった顔を上げて真剣な表情で口を開いた。

「だけど――そろそろ呑気に学校に通ってる訳には、いかないのかもしれないな……」

 思い出すのは先日の米軍艦隊襲撃事件。あの事件で彼女達は、遺骸をジェネシスと手を組んだ錬金術師が狙っている事を知った。本来犬猿の仲である筈の両者が手を取り合い、世界に敵対しようとしている。

 その事に危機感を感じているのは、クリス1人では無かった。




 同時刻、とあるスタジオで奏と翼がトレーニングウェア姿で
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