第三部 1979年
原作キャラクター編
運命の赤い糸 前編 ヴァルター・クリューガー
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ニンら革命の元勲によって作られたこの路線は、スターリン以後も継続する。
だが、今回の話には関係ないので、割愛させていただく。
後日改めて、話をしたい。
さて、不時着をしたヴァルターたちの元に近づく者がいた。
それは、黒くひざ下まで着丈のある雨合羽を着た三人の少女だった。
彼女たちは、夏休みを利用してヴロツワフに一泊二日の小旅行に来ていた学生グループの面々であった。
先頭を行くのは、最年長のイレーナ・マリノフスカヤ。
くっつくようにして、同輩のカーヤ・ザヨンツが、イレーナの後ろを歩く。
「イレーナ、置いていかないで」
そのあとから少し遅れてくるのは、シルヴィア・クシャシンスカであった。
彼女は、長い髪を赤いリボンで結っていたが、ひときわ目を引くのはその髪の色であった。
シルヴィアの髪は、白金のようにほとんど白に近い金髪で、地毛であった。
俗に言う、プラチナブロンドという色合いで、天然のものは子供にしか見らないが、まれに成人したフィンランドやスエーデンなどの北方人の間で見られる髪の色である。
別名をトゥヘッドとも呼ばれ、そのような髪は、今日でも高値で取引されている。
3人は、ワルシャワ育ちで、幼馴染であった。
何処に行くにも、何をするにも一緒であった。
特に内気で兄弟のいない一人っ子であったシルヴィアにとって、イレーナとカーヤは姉のような存在でもあった。
「シルヴィー、むこうで大きい音がしたから見に行こうって言ったのはあなたでしょう」
イレーナは、怖がるシルヴィアの方を向いて、彼女の事を愛称を交えて呼びかけた。
「でも、強盗だったらどうするのよ。
みんな乱暴でもされて、殺されちゃうわ」
「大丈夫、そんなこともあろうかとおじいちゃんからピストル借りてきたから」
そういって、イレーナはソ連製の拳銃を堂々と掲げた。
自動拳銃のスチェッキン・マシンピストルであった。
「これはね。20発も弾が入っているの。
だから、その辺のナイフとか鉈を持った強盗なら、簡単に追い返せるわ」
シルヴィアは小さくうなずいた。
頭を振ると同時に頭巾の中でポニーテールが上下する。
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