繁華街
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は目を細めた。
「どっちにしろ、まともな手がかりがねえし、それでもいいかな……」
「ここで見かけたってだけだもんね」
それはそもそも手がかりとさえ言えないのではないか。
そんな予感がしてきたところで、響から腹の虫が鳴り響いた。
「お腹空いた……」
「仕方ねえ……何か食ってくか」
「ッ!」
コウスケの提案を聞いた途端、響は目を輝かせた。
「やったッ! それじゃあコウスケさん、あれ食べたいッ!」
響はコウスケの腕を掴み、近くに設置してある移動型店舗を指差す。
彼女の指先を見てみれば、それは果たして女子に大人気(偏見)のクレープ屋店舗だった。
「あれ食べよッ!」
「クレープって……何だよこれ?」
「いいから並ぼうッ!」
響はそのまま、コウスケを行列に並ばせる。目の前には、コウスケと同じ年代の人々が列をなしており、まさに人気店といった印象を抱いた。
「すげえ並んでるじゃねえか……」
「ここ美味しいってこの前たくさん話した子が言ってたから、ちょっと気になってたんだッ!」
「お前いつの間にそんな情報交換を?」
コウスケはそう言いながら、ポケットから財布を取り出す。
様々な日雇いバイトをこなしてはいる。多少の買い食いくらいなら余裕はあるだろうか。
「なあ響。このクレープとやら、そんなに高くねえよな?」
「うーん、わたしは知らないけど……あ、でもこの前おばちゃん助けたらお駄賃もらったから大丈夫だよ」
「お前バイトしねえと思ったらそんなことで稼いでたのかよ」
そうして響とやり取りしている間にも、列は進んでいく。
やがて二人でそれぞれクレープを購入し、その裏にある小さな広場に腰を落とす。
「お前意外にも金持ってんのな」
「人助けをしてたら、たまにお小遣いくれる人がいるから。わたしはいらないって言ってるんだけどね」
「もらっとけもらっとけ。っつうか、お前は働かねえの?」
「うーん、この前何回かバイトやってみたんだけど、途中つい困っている人がいるとそっちに行っちゃって、それでクビになっちゃうんだよね」
「お前らしいな。……真司も友奈もバイトしてるってのに、ウチのサーヴァントだけは働かねえってことか」
「ごめんって」
響は手を合わせながら苦笑した。
コウスケは「いいよ」と言いながら、口を大きく開けてクレープを頬張る。
クリームがたっぷりと詰め込まれたそれは、コウスケの味覚を砂糖の味で一杯にさせてくる。
「すごい甘いな……これ」
「でしょッ! すっごい甘いよッ!」
甘いという単語に対する異なる印象を感じながら、コウスケはそのままクレープをかじり続ける。
やがてバナナやチョコレートといった味わいを感じながら、コウスケは繁
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