第3部
サマンオサ
7年後の真実
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んな環境ならば、誰だってそうなってもおかしくはない。
「でも、そんな僕たちの異常にいち早く気づいたのがフェリオだった。僕と母さんに初めて会ったとき彼は、『この二人はしばらく離ればなれにした方がいい』と言ったんだ」
「師匠ってば、見た目の割に子ども思いだもんね」
修行のときは厳しい師匠だが、基本的に子どもには優しかった。だから私は師匠のもとで武術の修行を続けられたんだ。
「そのときにフェリオに連れられていったのが、カザーブだったんだ。結局すぐに戻ることになったけど、あのときが一番楽しかったな」
「……ねえ、あのとき、どうして突然いなくなったの?」
今となっては夢で見るまで忘れていたくらい、遠い昔の話だ。けれど、今このタイミングでルークに再会したということは、何か意味があるのかもしれない。ナギみたいな予知能力はないけれど、運命が私たちを導いているような気がして、つい私は尋ねてしまった。
「……それは、父さんが突然罪人扱いされたって話をフェリオから聞いたんだ。僕は残された母さんが心配で、フェリオと一緒についていった。本当は戻る前に君に会いたかったけれど、時間がなくて出来なかったんだ」
「そうだったんだ……」
そのままサイモンさんは『祠の牢獄』へと連れていかれたのだろう。コゼットさんの様子から、その出来事が彼女やルークにとって最も辛いことだったのだと感じた。
すると、突然ルークが私に向かって頭を下げてきた。
「別れの挨拶もなく勝手にいなくなって、本当にごめん」
「そっ、そんなの謝ることじゃないよ! そりゃあ、ルークに会えなくて寂しかったけど……、ルークにも事情があったんだもん、仕方ないよ」
それに、今こうして再会できて、あのときの理由も知ることができた。もうそれだけで私は充分なのだ。
それから私たちは、カザーブで修行をしたときの話で盛り上がった。あのときは二人とも習いたてで、武術と呼べるものですらなかったけれど、それでも楽しかった思い出の方が多かったのは事実だ。そして話はいつの間にか、師匠の話題へと変わっていった。
「そういえば、どうして師匠はカザーブに住むようになったんだろ? 故郷って感じでもなかったし」
「僕もよくは知らないけど、以前フェリオが、余生をそこで過ごしたいって言ってたよ」
「余生……?」
すると、ルークの表情が暗くなった。
「フェリオは魔王軍と戦ったとき、呪いを受けたと言っていた。どんな呪いかは知らないけど、きっと命に関わるものだったんじゃないかな。フェリオは今どうしてる?」
「……亡くなったよ。二年くらい前に」
そう。師匠は私が旅立つ前、自分の家で亡くなった。そのとき私は立ち会うことはなかったけれど、私のお母さんから何かの病気で亡くなったと聞いた。だけど旅をしてきて知り得たことがある。師匠は
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