第三部 1979年
戦争の陰翳
東京サミット その2
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は、GEが1965年に作ったハーディマンを起源にもつ外骨格型強化服である。
史実の世界では油圧駆動の未発達と、680キログラムというその重量から、開発が中止された。
この異世界では、宇宙開発での利用で商用化に成功し、米軍で正式採用された。
そういう事もあってか、日本でもライセンス生産がなされ、戦術機の脱出装置に採用されたのだ。
強化外骨格の事は、マサキにはどうでもよかった。
実際の戦場や工事現場で使われているのはユンボやフォークリフトだったからだ。
ハーディマンや外骨格は、月面戦争という特殊な環境で使われた時代のあだ花にしか過ぎない。
マサキはそう考えて、無視していたが、ソ連との関係があると聞いたら話は別だった。
穂積何某は、ソ連に技術提供する見返りとして、ソ連人のバレーダンサーを関連会社や自宅に雇い入れていた。
バレーダンサーや舞踏家などというのは、KGBやGRUの隠れ蓑だ。
あるいはソ連が開発した超能力兵士をレンタルという形で借りているのかもしれない。
鎧衣の話によれば、ソ連の超能力兵士の殆どは、決まりきったように銀髪の女だという。
その話を聞いたマサキは、ある推論を立てた。
大元になる、女催眠術師や超能力者のミトコンドリアDNAから作った複製人間。
アーベルに前に聞いた話からすれば、美男美女も選考の対象にあるから、恐らく美女なのであろう。
それを1日1万円から2万円で、借りているのかもしれない。
あるいは、500万円相当のものと交換したのかもしれない。
ソ連はバーター取引の材料として、廃船予定の軍艦と石油などというとんでもない実例がある。
人間など2億もいるのだ、女一人ぐらい安いものだと思っているのかもしれない。
あるいは、共産主義思想の言うところの真理の一つである、量は質を凌駕する。
という事で、山のように複製人間を作って、持て余した分を売りさばいていたのかもしれない。
なにせ、フォードやオペルの複製品を堂々と西側で売るほどの厚顔無恥ぶりである。
フィアットからライセンスを借りていたVAZのラーダは、本家本元のフィアット124より多くの国に輸出。
捨て値同然の価格設定で、見境もなく売りさばき、利益を上げていたほどだったのだ。
三人目は、八楠という人物。
三菱で作っているF−4ファントムの改良案を、城内省に持ち込んだ人物である。
城内省にデータを持ち込むことはよくある話だ。
前にはF‐5フリーダムファイターの改良版であるトーネードの図面を、自作と偽って持ちこんだ事件が起きたばかりだった。
今回の図面は、ソ連の影響があるのは一目でわかるデザインだった。
西側では一般的ではないカーボンブレードが、全身に追加されていたのだ。
だ
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