第5話:怪奇現象はポケモンにお任せ
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マルス王を苦しめても、君が望む量の生命エネルギーは手に入らないよ」
マルス王を毎晩夜泣きで苦しめていたのは、グートミューティヒの予想通り『ムウマ』であった。
ゴーストタイプのポケモンであるムウマは、あの手この手で誰かを怖がらせる事が大好き。夜中に突然泣き叫ぶような声を上げたり、背後から髪に噛みついて引っ張ったり、突然目の前に現れてみたり、そうやって驚かせて人が怖がる心を利用して首にかけた赤い珠のネックレスに生命エネルギーを集めている。それ故、驚かす練習をする事まで欠かさない努力家なポケモンでもある。
だからなのか、グートミューティヒはムウマがマルス王に取り憑いていた理由がよく解った。
「戦いに敗れ、権力を失い、逃げる以外の言動を全て奪われた暴君。逃亡に失敗した時点で死を意味する彼なら、何したって驚いてくれると思ったんだろうとは思うが……」
必死に剣を振り回すマルス王だが、その太刀筋は素人のそれにも届かない貧弱なモノ。
マルス王は既に瀕死の枯れ木だ。誰かが切り倒さずとも、自ら倒れる定めの者。
最早、マルス王を驚かせて何の得が有るのか?そこまでの価値が有るのか?
マルス王自身は未だに復権や返り咲きを狙っている様だが……
「それに、あの男を狙っている連中は、黒い幽霊である君も狙っていた。もし彼らに君の事がバレたら、君もあの男の様に捕まって……」
グートミューティヒは1度言葉を切り、再びマルス王の方を見た。
すると、遂に疲労の方が勝ったのか、マルス王は剣を持ち上げる事すら出来なくなっていた。それでもなお、賞金稼ぎ達に捕まるまいと剣先を引き摺りながら剣を振り回す。
既に剣先を床から離す事すら出来ないていたらく。最早勝敗は決したも同然にも拘らず、それでも自分を軸にしながら剣を回すマルス王の姿は、どこか滑稽であり、どこか醜くあり、どこか哀れであり、どこか悲しげである。
そんなマルス王の末路に、グートミューティヒは極悪害獣と勘違いされて迫害されて駆除されるポケモン達と重なってしまった。マルス王は自業自得でポケモンは無実と言う違いがあるにも関わらずである。
「これ以上あの男と一緒にいても、あの男の様に破滅するだけだよ。僕はそんな君を見たくないし、そうはさせない!」
だから、グートミューティヒはムウマが欲しがる物を提示する為にある提案をする。
「それより、僕達と一緒に魔王軍に寝返ったモンスターを驚かせてやろうぜ!ポケモンと違って人間と仲良くしない悪いモンスターを懲らしめる為に」
すると、モンスターボールからピカチュウが勝手に出て来てムウマを説得する。
そんなピカチュウの言葉を聴いたムウマは、無抵抗でグートミューティヒの空のモンスターボールの中に入った。
「ありがとう、ピカチュウ。ムウマ」
グートミューティヒに礼を言われたピカチュウは、嬉し
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