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SAO─戦士達の物語
MR編
百六十一話 王墓の闇を超えて
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ミッド……エジプト……ファラオ……男の子……」
数秒おいて、ポンッと直葉は手のひらにこぶしを打ち付ける。すると突然涼人を指さして大きく叫んだ。

「ツタンカーメン!!」
「……言っといてなんだがお前、和人(そいつ)の曖昧服装情報からよくそこまでたどりつけんな」
「少年王って言ったら一人だもん」
「そりゃそうか……」
二人の会話を聞きながら、やや蚊帳の外なのが不満なのか机の上のポットに手を出した和人も思い出したように言った。

「そう言えば、なんかアスナとサチも言ってたなその……タンメン?」
「ツタンカーメン!大昔のエジプトで十代前半で王様になったっていう少年王だよ」
世界史の授業で習うよこれという直葉に無言でお茶を含みつつ肩をすくめてごまかす和人を横目に、取り出した皿をシンクの上に並べて涼人は話を続ける。

「ツタンカーメンっつー奴は色々と話題性が高くてな、発掘した奴らが急死したから「ツタンカーメンの呪い」なんて話も昔はあったんだと」
「あぁ、それでダンジョンもボスもあんな感じだったのか」
「それに確か、ツタンカーメンの棺からは短剣が発見されてるんだよ、鉄製の」
「へぇ……ん……?けど古代エジプトの王様なんだろ、鉄あるの?」
「んーん。剣は隕鉄でできてて、隕鉄は鉄より低い温度で溶かせたんだって」
「なるほどなぁ……」
昔の人もいろいろと考えるんだなぁと感心したように湯呑を傾けて立ち上がり、皿を持ち上げた涼人のもとへと移動すると、ライスとルーが盛られたそれを受け取って食卓へと運ぶ。直葉はといえば、シンクわきの引き出しからスプーンを取り出し始めていた。

「ま、つーわけで今回のシナリオは少年王に奴さんの持ち物だった短剣を返す話だったってのが俺たちの見方だな」
「なるほどねぇ……で、お礼として物としての短剣だけはシリカちゃんと所に残ったってことかー……」
すっきりした顔で食卓につく直葉の前には、本日の夕飯であるハヤシライスが鎮座する。トマトとさいころ上に切ったチーズを添えたグリーンサラダと、ついでになぜか冷蔵庫にあった福神漬けも食卓に並ばせて、不意に、奇妙に間の抜けた電子音がリビングに鳴り響いた。

「ん、悪い」
「電話ー?」
「おう、ちょいと失礼」
言いながら、画面を見る。途端……

「ん」
「?」
「どしたのー?」
奇妙な声を出した首をかしげる二人に苦笑しながら廊下に出て電話を取る。

『Hello!りょう、元気にしてる!?』
「おう、姉貴のほうは聞くまでも無さそうだな」
苦笑しながら電話を取った先に、久しぶりに聞くハスキーな姉……桐ケ谷 玲奈の声が響いていた。


Third story 《ダンジョン・アタック!》 完

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