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SAO─戦士達の物語
MR編
百六十一話 王墓の闇を超えて
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彼女にサチは肩を跳ねさせて振り向く。

「ぉい、アイリテメェどういう意味だよコラ」
「えー?そのままの意味でしょ〜?」
アイリを捕まえようとしたリョウの手が空を切る。ヒラリヒラリと身をかわした彼女は素早くサチの後ろに回ると、彼女をリョウとの間に挟んでくすくすと笑った。

「アンと喧嘩したときなんて自分が悪くてもぜぇったい謝らないのに」
「アイツと言い合いになった中で俺が悪かったことなんざ記憶にねぇな」
「サボり魔がなんか言ってる〜」
「俺に回ってくる仕事が多すぎんだよ単に!」
ったく、と言いながらリョウはキリトたちの方へと歩き出す。単にそろそろ合流すべきと考えたのか、はたまたアイリとサチ二人相手には旗色悪しと見たのか……少し離れて後に続き始めたサチに、アイリが言った。

「でもサチ、ホントにすごいよね、サチの前だけだよ?あんなにリョウが素直なの」
「えっ?……私は、幼馴染だから……かな」
「ふーん……それだけ?」
軽く首を傾げるようにしてサチの視界の端に入りながら問い掛蹴られた言葉に、彼女は同じく小首を傾げながら訝し気に聞き返す。

「それだけ……って?」
「ううん、深い意味はないけど……でも、それだけであのリョウがあんなに素直になるのかなーって、私はてっきり、サチがリョウに取って……なんか、特別だからなのかなって思ってたから」
「……“特別”……」
その言葉にトクンと心臓が跳ねた音が頭の中で反響する。呆けたように制止する思考がけれども現実へと立ち戻り、彼女は小さく微笑んでフルフルと首を横に振った。

「ううん」
「……ふーん……じゃあ、リョウの特別は他の人でもいい感じ?」
「…………えっ?」
脚が止まった。彼女の周りだけ完全に時間が制止したような、顔が石になったような状態で立ち尽くす彼女に寧ろアイリの方が困ったように苦笑した。

「あー、うん、ごめんごめん、ちょっと意地悪なこと聞いたよね〜……うん、でもまぁなんていうかさ……」
「あ、え?」
「…………」
未だ呆けた顔をしている彼女にアイリは苦笑を通り越して少しだけ呆れた。この期に及んで余りにもあんまりな答えだったので少しだけモヤモヤとした感情が吹きあがって意地の悪い言葉を口走ってしまった事に少しだけ後悔したが、もうそれも薄れ始めている。寧ろ……

「気を付けた方が良いと思うよ〜?サチの幼馴染の特別になりたい人って、きっとサチの他にもいると思うから、さ」
「…………」
「それだけ、行こっか」
歩き出しながら、何を言っているんだとアイリは自分に問い掛けて、寸前までの自分の行動と思考を結局完全に後悔した。そんな人間に心当たりがあるわけでもなく、ましてや既にそれを望む権利すら無くした自分がどの辛さげて説教臭いセリフなど言えるのか、自分で言って居
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