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SAO─戦士達の物語
MR編
百六十一話 王墓の闇を超えて
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ゃないかな?」
「お前さっきからヤケに返しにくいとこ突いてくる言い方だと思ったらそれが理由かよ!?」
「だって!……あんな……その、馬乗り……みたいな……」
その先は、もごもごとして言葉にはならなかった。勿論発言の内容が気恥ずかしいせいもあるのだが、それとは別に、リョウの行動の意図する所が彼女には分かっていた所為も在った。魔術師として防御力を削った装備になっていたアスナがあの時ユウキの剣で倒れていれば、彼女がどれだけの精神的ショックを受けたかは自明だし、ましてあのままユウキを放置していた場合次に彼女の剣を向けられていたのはおそらくサチだったはずだ。

「いや、つってもな……ありゃ仕方ねぇだろ、緊急だったんだからよ」
「そうだけど……」
しかしそれが分かっているはずなのに、サチは非難がましい目でリョウを見てしまう。なんとも言えない表情でサチとにらみ合う……というよりも一方的に睨みつけられる事数秒、やや諦めたように大きく息を吐いてリョウはしぶしぶと言った風に小さく首肯した。

「わかった、わーったよ、まぁ、確かに?あのやり方が倫理的になんつーか、とにかくアレ的にアレだったのは多少認めるよ」
「多少……?」
「けっこう!勘弁しろよ……」
珍しく参った様子のリョウに、多少なりともサチも満足したようだった。コクリと頷いて矛をおさめ……た、と思いきや、更に探るような目で彼を見る。

「じゃあ、その……何か言う事とか……」
「あ?あー、まぁ、そだな……ユウキには後でちゃんと謝っとく……ん?」
くい、と袖を引かれて、サチの方を見る。と、彼女は再びどこか非難するような、普段より少し鋭さを帯びた視線でリョウを真っ直ぐ見上げていた。

「ユ、ユウキもだけど……わ……私に……とか……」
「……はぁ?」
今度こそ、リョウは本当に訳が分からなかった。押し倒されたユウキ本人にならばまだわかる、分かるが……

「いやなんで俺がお前に謝んだよ、ユウキにはともかくそっちにゃ何一つ迷惑かけちゃいねぇ……だ、ろ……」
「……………………」
マズイ、と、リョウは直感的に察した。
今言おうとしている言葉、それを口にした瞬間目の前の幼馴染の機嫌を致命的に損ねる事になる。何故かそんな予知めいた直感が働いて彼は口を止める。結局、たっぷりと十秒もかけて悩んだ末にリョウは彼女に向けて浅く頭を下げた。

「……分かった、悪かったよ……何つーかその……無茶な事し過ぎたかもしれん」
「……うん、分かってくれたなら良いです……ホントにびっくりしたんだよ?」
「わあったって、脅かして悪かったよ……」
「へえぇ、珍しい!リョウが素直に謝ってる!」
「ひゃっ!?」
ひょっこりと、アイリがサチの脇から顔を出していた。リョウは気が付いていたが、いきなり真後ろに現れた
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