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SAO─戦士達の物語
MR編
百六十一話 王墓の闇を超えて
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「やあぁぁっ!!!」
菫色の閃光と共に、痩身の巨躯が遂に膝をついた。寸前まで振り上げていた腕をだらりと垂らし手に持った三叉槍が甲高い音を立てて地面に落ちる。

「オ、オ、オ、オ、オ、ォ、ォ、ォ─────!」
断末魔とも呪詛とも知れぬ絶叫を上げてポリゴンの欠片へと還っていくその姿が完全に消滅すると、部屋の壁に接地されていた松明たちが怪しい揺らめきから息を吹き返したように煌々と輝き、それまでの薄暗さが嘘のように部屋中がオレンジ色の光に照らされる。それと同時に、部屋に居た全員がそれぞれに脱力と達成感の混じった声を上げた。

「っはーーーー!強かったねぇ!!」
「あぁ、正直こんなに厄介な相手とは思わなかった」
結局あのまま最後まで小型種たちとの乱戦を担当し続けていた二人の剣士が背中合わせに床に座りこむ。後方に目をやると、駆け寄ってくるアスナとシリカの姿が見えた。

「お疲れ様、キリト君!」
「アイリさんも、お疲れ様でした!」
「あぁ、アスナもお疲れ」
「ありがとーシリカちゃーん、あー、おいしい!」
手渡されたポーション……と言っても回復量の多い戦闘用の物ではなく、味が良い代わりに回復速度が遅く、非戦闘時に呑むために開発されたプレイヤーメイド品のそれを飲んで一息をつく。周囲全域に常に気を張り続けての対集団戦を行った頭に、甘酸っぱさが融けるように沁みこんでいく。ふとアイリが視線を移すと、先ほどまでボスがいた位置に立つリョウと視線が合った。

「(フリフリ)」
「……ったく」
こっちはお構いなく、とでも言わんばかりに手を振るアイリに呆れたようにため息をついて、リョウは傍らのユウキを見る。そのユウキはと言えばキリトたちと同じく珍しく地面にへたりこんでいた。

「よぉ。流石の絶剣さんもお疲れかい」
「つかれたよぉ、あんなの初めてだったんだもん……リョウは疲れないの?」
「ま、慣れだこんなもん。ま、お前さんも泣きべそかいてた割にゃよく立て直したと思うぜ」
「……もぅ。リョウってもしかして意地悪?」
少しばかり恨めしそうな顔で上目遣いに自分を見るユウキに、リョウは肩をすくめて笑った。

「へっへっへ、意地悪くしたつもりもねぇが、嫌なら俺の前でべそかかねー様に気を付けるこったな」
「やっぱり意地悪だー!」
わー!と騒ぐユウキは言葉とは裏腹にすっかりと元気を取り戻したようで、先ほど浮かべていた暗い表情はもう面影すら見つける事は出来ない。

「へいへい。それよかユウキ、お前さんそろそろ立った方が良いぜ、アスナの奴さっきからすげぇこっち見てんぞ」
「え、あっ!そうだった!」
「さっさと行って、無事だっつって来いよ〜、じゃねぇとまた俺が何か言われんだ」
「アスナー!リョウがねー!」
「おいぃ!」
立ち上がりながらブンブン
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