第八十話 教会の仕組みその三十六
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「僕は無理には」
「言わないんだね」
「それはです」
絶対にという言葉でした。
「したくないです」
「真面目なんだね」
「そうでしょうか」
「うん、しかし二人共こうだとね」
白石さんは新一君だけでなく私も見て言いました。
「進展ないね」
「進展?」
「うん、千里ちゃんはこうだしね」
私にも言ってでした。
また新一君を見てです、こう言うのでした。
「阿波野君も実は真面目だしね」
「それで進展がないんですか」
「わし阿波野君がどんどんいくと思ってたんだよ」
「新一君がですか」
「それがこうだからね」
こう言うのでした。
「これだとね」
「進展がないんですか」
「うん、まあ気長にね」
それでというのです。
「皆見守ってるからね」
「私と新一君をですか」
「そうしているからね」
「そうなんですね」
「まあ阿波野君が高校を卒業するまではね」
あと二年弱です。
「それでもいいね」
「いいんですね」
「うん、しかし阿波野君が奥手とはね」
白石ささんは新一君に笑って言いました。
「意外だよ」
「そうですか?」
「もてそうだしね」
「いえ、全然」
新一君はもてることを否定しました。
「付き合ったことないです」
「誰ともなんだ」
「はい、そうです」
こう白石さんに言います。
「これまで一度も」
「それが信じられないね」
「本当なんです」
これがというのです。
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