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金木犀の許嫁
第十七話 生まれ変わりならその三

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「あるからね」
「今でもそうですね」
「宗教関係だとね」
「お寺や神社ですね」
「天理教の教会もね」 
 こちらもというのだ。
「あるでしょ」
「ありますね、この八条町の天理教の教会の」
「ええ、私達の学校の理事長さんのご一族が信者さんのね」
「八条分教会もですね」
「あの教会娘さん三人だから」
 子供がというのだ、男の子が生まれるか女の子が生まれるかは運若しくは神の配剤と呼ばれるものであるから女の子ばかりということもあるのだ。
「だからね」
「長女さんがですね」
「お婿さん迎えてね」
「跡を継いでもらいますね」
「今長女さん大学生らしいけれどね」
「天理の方の大学に行かれてますね」
「けれど将来はね」
 やがてはというのだ。
「教会に戻られて」
「お婿さんを迎えて」
「跡を継いでもらうのよ」
「そうなりますね」
「そうしたお家もあるしね、今も」
「昔はですね」
「もっと多くて」 
 そうした状況でというのだ。
「許嫁は普通でね」
「お見合いもですね」
「戦前はね」
「士族では普通ですね」
「軍人さんなんてね」 
 陸軍そして海軍のというのだ。
「士官さんは若いうちからよ」
「お見合いをして」
「そして大抵そのお見合いでね」
「結婚ですね」
「なってたみたいよ」
「軍人さんは武士でしたね」
 その考えがそのまま受け継がれていたのだ、だからこそ文武両道を目指し和歌を詠むこともしていたのだ。
「それで真田家の方々も」
「お見合い多かったわね」
「そうですね、おそらく」
「それでも幸雄さんは」  
 彼はというと。
「今の時代の人で」
「お見合いには抵抗があってもですね」
「おかしくないし」 
 そうであってというのだ。
「それでね」
「恋愛で、ですね」
「そうお考えかもね」
「そうなんですね」
「確証はないけれどね」
 実際のところ自分の今現在の考えに過ぎないとだ、真昼は話した。
「それでもよ」
「その可能性はありますね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「そうだとしても」 
 自分の予想通りでもというのだ。
「否定は出来ないわね」
「お見合いよりも恋愛という場合も」
「今はね。昔は無理だったとしても」
「今は自由恋愛ですね」
「それがいいからね」
「士族のお家でも」
「その士族もないしね」
 今の時代はというのだ。
「だからね」
「幸雄さんもですか」
「ええ、それで今白華ちゃんさん付けだけれど」
「様付けでないですね」
「主家の方でも」
「実は幸雄さん様付けはです」
 彼自身がというのだ。
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