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金木犀の許嫁
第十七話 生まれ変わりならその二

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「よくです」
「読まれているのね」
「はい、ですが読まれない本もあるそうです」
「そこは人それぞれだしね」
 真昼もそれでどうとかは思わなかった。
「どうしてもね」
「はい、それで」
「読まれない本もあるのね」
「そうみたいです。ただ文学の方もです」
「読まれているの」
「その様です」
「教養ある方なのね」
 真昼もこう考えた。
「幸雄さんは」
「そうです」
「いい人手文武両道ね」
「はい、それで真田家もです」
 彼の家もというのだ。
「早いうちにお見合いをとです」
「言われているの」
「そうですが」
 それでもというのだ。
「幸雄さんはお見合いはどうもです」
「されないの」
「抵抗がある様です」
 そうだというのだ。
「これが」
「お見合いになの」
「その様です」
「そうなのね」
「どういうお考えかわかりませんが」
 白華としてはとだ、真昼に話した。
「その様です」
「若しかして交際してじっくりとお互いを知って」
 真昼は幸雄の考えについて考えそうして述べた。
「結婚までしていきたいとか」
「そうしたお考えですか」
「そうじゃないかしら。ただね」 
 真昼はこうも言った。
「昔の武士のお家の結婚は」
「許嫁ですね」
「そのお相手がもう決まっているのよね」
「子供の頃にですね」
「それがね」 
「普通ですね」
「そうだったのよね」
 真昼に江戸時代の武士のことを考えつつ話した。
「士族の人達でもね」
「ちょっと格のあるお家なら」
「真田家はね」
「薩摩藩の上士だったので」
 真田家という素性は隠してだ。
「やはりですね」
「許嫁がね」
「当然でしたね」
「幸雄さんのお考えは恋愛結婚かも知れないけれど」
「それはですね」
「武士だとね」
 それこそというのだ。
「なかったことね」
「そうですね」
「長南さんは奥さんを迎えて」
 そうしてというのだ。
「次男さん三男さんになると」
「養子ですね」
「婿入りしてね」
「そうなりますね」
「そうしたお家も結構あるわよね」
「女の子だけのお家が」
「そもそもお子さんがいなかったり」
 そうした場合もというのだ。
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