第十四話 微かに見えたその十
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「私の若い頃は今の様にです」
「恐竜屋はあちこちになかったですね」
「そうでした」
こう黒木に話した。
「これが」
「はい、本当にかつてはです」
「こちらだけだったんですね」
「本店だけでした」
店はというのだ。
「そうでした、そして」
「そして?」
「このお店にです」
黒木はさらに話した。
「アバレンジャーの人達がです」
「恐竜の戦隊の一つでしたね」
「あのチームの人達が集まっていました」
「そうだったのですか」
「はい」
天知にそうだと答えた。
「かつては」
「そうでしたか」
「戦隊それぞれで」
それでというのだ。
「集まる場所も違いますね」
「そうですね」
仲村もそれはと答えた。
「本当に」
「それでアバレンジャーの人達はこのお店だったんだ」
「恐竜屋だったのですね」
「ここで店長さん、前の社長さんが作ったカレーを食べて」
そうしてというのだ。
「そのうえで何かとお話をして」
「戦いに出て」
「勝ったんだ」
「そうなのですね」
「アバレキラー以外の人がいたんだ」
この店にというのだ。
「そうだったんだ」
「アバレキラーといいますと」
そう聞いてだ、仲村は暗い顔になって話した。
「彼は」
「何かとありましたね」
天知も暗い顔で述べた。
「まことに」
「そうでしたね」
「最後は安らかで」
天知はそれでと話した。
「今も魂は穏やかなそうなので」
「よかったですね」
「はい、運命に弄ばれた」
こうもだ、天知は言った。
「気の毒な人でしたね」
「運命に弄ばれる?」
望はそう聞いてこう言った。
「そうしたこともあるんだ」
「望もわかりますよ」
息子に顔を向けて答えた。
「その時になれば」
「そうなんだ」
「はい」
まさにというのだ。
「いいことではないですが」
「それでもなんだ」
「はい、生きていきますと」
父としてさらに話した。
「いいことも知れば」
「悪いことも知るんだ」
「そして運命のことも」
「知るんだ」
「運命は時として残酷で」
悲しい顔で話すのだった。
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