第三部 1979年
姿なき陰謀
如法暗夜 その3
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いに、その材料が……」
男は、興奮した面持ちで、コイーバの葉巻を燻らせる。
ハバナ産の高級銘柄で、キューバの急激な共産化以後、容易に手に入らない珍品であった。
「あのBETAが作った、G元素という物質が、世界最強と、にらむ。
この目に、狂いがあろうはずがない!
私は、自分の夢の実現のために、あの原材料を手に入れねばならない」
1979年に入って、米国の対BETA戦略は岐路を迎えた。
それは大型船外ユニットを起源とする戦術機ではなく、G元素を由来とする新型兵器開発である。
g元素とは、1974年にカナダのアサバスカ湖で、グレイ博士が発見した新元素。
ムアコック・レヒテの両博士が発明した新型タービン、通称、ML機関。
この新装置によって、発生させる重力操作は、既存の兵器は、ほぼすべて無力化させる。
また、同機関は、稼働の際、余剰電力として、原子力発電所を優に超える電力を発生させる。
それまで空想とされていたレーザーによる荷電粒子砲の実現の可能性が見えてきた
その事によって、BETAとの戦争に勝利し、地球の全覇権を握るのが、米大統領の夢であった。
場面は変わって、 ラスベガスの北西約130キロにあるアメリカ空軍ネリス試験訓練場。
ネバダ核実験場の近くにあるグルーム湖と呼ばれる場所。
公式には何もないことになっているが、地民たちは、そこに基地があることを知っている。
その基地は、パラダイスランチやレッドスクエアなど数々の異名をもつ、秘密基地エリア51である。
元々は銀や鉛の採掘場であったが、第二次世界大戦前、米陸軍によって接収された。
そして、冷戦期になると、CIAのスパイ偵察機の開発基地となった。
1955年、時のCIA長官リチャード・ビッセル・ジュニアは、ここを本部とした。
また、ロッキード社も計画に参画し、航空機設計者ケリー・ジョンソンを始めとするスタッフが常駐するようになった。
その基地に佇むウイリアム・グレイ博士。
木原マサキを仇敵とし、打倒を企む彼は、ここで、恐るべき巨大戦術機・XB-70を建造していたのだ。
「あの忌々しい、黄色い日本猿、木原マサキよ……
おのれゼオライマーめ、如何に機体を強化しようとも、必ず血祭りにあげてやる。
フフフフ……」
彼は自身の勝利を確信し、不敵の笑みをたたえた。
G元素を利用して重力操作を可能にする「ムアコック・リヒテ機関」。
その装置を転用した、大型戦略爆撃機XB-70。
設計メーカーは、米国の航空機メーカー、ノースアメリカーナ。
(ノースアメリカーナは、現実の航空機メーカー、ノースアメリカン)
戦術機開発に後れを取った同社は、この大型機で巻き返す心づもりであった。
では、大型戦略爆撃機X
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