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神々の塔
第六十七話 竜殺しの英雄その八

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「ちょっと」
「そやな、私もな」
「十星連合の星の子で結婚してる子って」
「ほぼおらんわ」
「フォークナー君がフィアンセおるけど」
 フロリダの星の者の彼のことを話した。
「他は誰も」
「相手おらへんな」
「うちも含めて」
「別に相手作るなとはな」
 リーがここでこう言った。
「定めてへんが」
「それでもやね」
「皆こっちの世界で政に忙しくてな」 
 そうであってというのだ。
「交際とか結婚までな」
「手が回らへんね」
「そやな」
「うちもやし」
「しかし結婚したいなら」
 こちらの世界でというのだ。
「別にや」
「ええね」
「そや」
 こう綾乃に話した。
「ほんまな」
「そやね」
「綾乃ちゃんもな」
「それはわかってるけど」
「そのつもりはないか」
「何か出会いがあらへんで」
 綾乃はどうにもという顔でリーに答えた。
「それでやねん」
「この世界では結婚せえへんか」
「起きた世界でも」
「そやねんな」
「何か十星連合の星の子大抵そうみたいやけど」
「かく言う私もな」 
 リーは自分の話もした。
「どうもな」
「恋愛にはやね」
「縁がないわ」
「そやねんね」
「これまで誰かと付き合ったことないわ、それに」
「それに?」
「恋愛は怖いもんでもある」 
 リーはこれまで以上に真面目な顔になった、そのうえで綾乃に対してそうした声でさらに言うのだった。
「下手したら死にたくなる様な目にも遭う」
「遠井君やね」
「彼は今は立ち直ってな」
「ええ彼女さんいてはるけど」
「ずっと支えてくれてる親友さんとな」
「そやけどね」
「彼の話を聞くと」 
 八条学園のその話をするのだった。
「ほんまな」
「地獄見るね」
「恋愛はな」
「甘いだけやないね」
「時として切なくてな」
「地獄も見るもんやね」
「それこそ目の前が真っ暗になって」
 そこまでの絶望に覆われてというのだ。
「それでドン底に落ちる」
「性格も人間観も一変する様な」
「そんな風にもなるな」
 そうしたというのだ。
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