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金木犀の許嫁
第十六話 節度のある人その十

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「怖いものでもある」
「よく甘いとか言うけれどね」
「甘くて切なくて」
「怖い」
「そうしたものよね」
「だから私はね」
 真昼はまた言った。
「しなくてもいいともね」
「思ってるのね」
「絶対しないといけないか」
「そんなルールないしね」
「ないでしょ」
「ええ」
 夜空もその通りだと答えた。
「そんなのないわよ」
「そうでしょ」
「それでなのね」
「しなくてよくてね」
「怖いのなら」
「別にいいともね」
 その様にというのだ。
「思ってるのよ」
「そういうことね」
「彼氏さんいなくても楽しかったら」
 そうした学園生活、日常生活を送れたらというのだ。
「それでいいでしょ」
「充分よね」
「お家でも楽しいしね」
 今自分達がいる場所もというのだ。
「お父さんお母さんとは別居になったけれど」
「それでもよね」
「夜空ちゃんもでしょ」
「楽しいわ」
 姉に笑顔で答えた。
「毎日とてもね」
「そうよね。夜空ちゃんがいてね」
 その彼女を見て話した。
「佐京君と白華ちゃんがいて」
「それでなのね」
「幸雄さんも来てくれたし」
 彼のことも話した。
「それならね」
「充分なのね」
「ええ、お家でもね」
「家族がいるから」
「それで美味しいもの飲んで食べられて」
 そうしてというのだ。
「お家は奇麗で快適だしね」
「いいお家よね」
「しかも学校に近いし」
 このこともあってというのだ。
「充分幸せだから」
「お家でも」
「満足してるし」
 そうであるからだというのだ。
「もうね」
「恋愛はなのね」
「それがなくてもね」
「いいのね」
「したいと思っても」 
 そうした時があろうともというのだ、真昼は夜空を見てそのうえで明るく笑ってそのうえで話すのだった。
「強くはないわ」
「そうなのね」
「ええ」
 そうだというのだ。
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