第七百四十九話 本物の馬鹿その九
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「王様が治めてだ」
「秩序を護る為よね」
「国家のな」
「その為の考えよね」
「神様、宗教の権威が王の権利を保証している」
「そう言って貴族の叛乱を抑えていたわね」
フランスでも貴族の叛乱がありイギリスでもだった、それでこの説が出て彼等を抑えんとしたのである。
「そうだったわね」
「その意味では同じだ」
「王権神授説も啓蒙思想も」
「秩序を守るという考えではな」
「それを形成して」
「そうなる、本当に法律とだ」
それにというのだ。
「政府がないとな」
「とんでもないことになるわね」
「秩序がないとな、若し無政府主義になれば」
「本物の馬鹿が望む様な」
「そんな社会になるとな」
その時はというと。
「最悪の社会だ」
「悪い奴等がやりたい放題の」
「何もないな、弱い人は生きられないしだ」
その悪人達に虐げられてである。
「そしてだ」
「そして?」
「警察も鳴ければ軍隊もないんだ」
無政府主義の社会ではというのだ。
「当然な」
「軍隊は政府の下にあるしね」
「それなら連合ならどうなる」
「エウロパが攻めて来るわね」
「海賊やテロリストが暴れ回ってな」
そのうえでというのだ。
「エウロパもだ」
「攻め込んで来て」
「またあいつ等に踏み付けられる」
「植民地になるわね」
「そう考えると怖いな」
フランツもここまで聞いて眉を顰めさせた。
「エウロパに征服されるとなるとな」
「そうだな」
「弱い人は生きられなくてか」
「あくまで最悪のケースだが」
そうしたものだがというのだ。
「しかしな」
「そうもなるか」
「無政府主義なら法律も政府も警察も軍隊もなくだ」
そうしたもの全てがというのだ。
「インフラも産業もな」
「何もないか」
「石器時代と同じだ」
それこそというのだ。
「ルターの社会を悪い意味で再現した社会だ」
「自然に帰れか」
「その社会をな」
「悪い意味で再現したか」
「そんな社会だ」
「最悪だな」
「ユートピアどころかだ」
タムタムはこれ以上はないまでの嫌悪感を込めてフランツに話した。
「ディストピアだ」
「そちらになるな」
「そうだ」
まさにという声で答えた。
「そうなる」
「そうなるか」
「そして本物の馬鹿はな」
「真っ先に殺されるか」
「そうした社会にすべきと言った奴がな」
ここでは嫌悪感というよりは軽蔑を込めて話した。
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