暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第三部 1979年
迷走する西ドイツ
忌まわしき老チェーカー その1
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 荷電粒子。
それは、電気を帯びた高速の粒子のことである。
一般的には、電子や陽子、または原子から電子をはぎ取ったイオンなどを指す言葉である。
 けして我々にも縁の遠いものではなく、太陽から出る太陽風を通じて、地球に降り注いでいる。
太陽風の、その影響する距離は、太陽系も超えてはるか150億キロメートル先にある、星間ガスとの間に球状の終端衝撃波を形成するまで吹き渡るほどである。
 荷電粒子は、この強力な太陽風ばかりではなく、人工的に再現できるものでもあった。
超大型の加速機を使ったレーザー実験設備や、ガン治療に使われる粒子線治療装置ですでに実現された技術である。
 では、なぜ兵器転用がされていないのか。
それは膨大な電力を消費し、巨大な加速器と言われる粒子にエネルギ−を与える機械が必要だからである。
それ故に、現実世界ではいまだ艦船はおろか、軍事基地にさえ、設置できるレベルではない。
 そして、荷電粒子の特性として、磁場により容易に偏向するので、地磁気の影響を受けやすい。
故に実用化しても、地球上では発射することが、簡単ではないのだ。
 ただし、天のゼオライマーのように、次元連結システムによって、あらゆる次元や時空間を超越することが可能ならば、荷電粒子砲は容易に発射可能である。
またエネルギーの問題も、全宇宙のエネルギーを集めることが可能な次元連結システムを用いることが可能ならば、実に簡単に解決するのであった。
 エネルギーの問題が解決しても、他の問題が立ちはだかっていた。
それは粒子加速器の小型化である。
 例えば、艦船や航空機に搭載するにしても、最低でも人体並みに小さくすることが出来ねば、荷電粒子砲は武器として使えない。
要塞や重要拠点に設置するにしても、最低でもプレハブ並みに小さくする必要がある。
 現実世界にあるガン治療の粒子線治療装置でさえ、数メートルから数十メートルの加速器が必要である。
兵器として基準を満たすものは、どれほどの大きさになることやら。
そういう経緯もあって、現実世界は未だに空想の域を出ない兵器であった。

 ロスアラモス研究所のムアコック博士は、荷電粒子砲の実用化を急いでいた。
それは、宿敵と一方的に決めつけた木原マサキ。
彼の作ったマシン、天のゼオライマー及びグレートゼオライマーを打倒するためである。
 ゼオライマーがいかに危険なマシンであるかは、ロスアラモス研究所は早くから情報で手に入れていた。
 それは、FBIやCIAを経由した情報ではない。
シュタージのハインツ・アクスマン少佐が作ったとされる、一冊のファイルが始まりであった。
 アクスマンはどのようにして、ゼオライマーの情報を手に入れたのだろうか。
それはアクスマンが、鎧衣から貰った私的な文書を基に、想像で書き上
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