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俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
幼なじみとの再会
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、いつの間にか自分の世界に入っていたことに気づく。
「ご、ごめん皆。どうぞ続けてください」
 敬語になりながら話を促す私に、白い目でこちらを見ているユウリ。確かに今は旧友との再会に浮かれている場合ではないけれど、そこまで露骨に嫌な顔をしなくてもよくない?
 そんな私の気持ちとは裏腹に、ユウリは改めてコゼットさんたちに向き直った。
「俺たちはあんたたちに迷惑をかけるつもりはない。魔王を倒すためには、どうしてもサイモンに会わなければならないんだ。些細なことでもいい。サイモンや、ガイアの剣について知っていることがあれば、教えて欲しい」
 真剣な面持ちで頼み込むユウリに対し、コゼットさんはしばらく黙り込んだ後、ゆっくりと口を開いた。
「……ごめんなさい。もう私の口からあの人に関することは言いたくないんです」
 そう言い残すと、コゼットさんは逃げるようにリビングから出て行き、二階へと上がってしまった。
『……』
 追いかけることも出来ず、私たちは彼女が階段を上る足音をただ黙って聞いていた。
「……ええと、ごめん。ちょっと事情が飲み込めないんだけど……」
 沈黙を破るかのように、ルークがおずおずと私に声をかけてきた。
「あっ、そういえば自己紹介がまだだったね☆ あたしはシーラ、こっちの銀髪がナギちんで、あっちの黒髪がユウリちゃんだよ♪」
「おいシーラ、自己紹介くらいマトモに話せよ。オレはナギだ」
「シーラさんに、ナギさんですね。ユウリさんは……、女性? いや、男性ですよね?」
「バカウサギ、お前のふざけたあだ名のせいで俺はこいつにベギラマをぶちこまなきゃならなくなった」
「ごめんなさい!! こう見えてユウリちゃんはれっきとした男の子なんです!!」
「あ……、やっぱりそうだったんですね」
 彼らのやり取りに戸惑いつつも、ルークは私たちを見回すと自分から名乗り始めた。
「こちらこそ自己紹介が遅れました。僕はルーク。……勇者サイモンの息子です」
 そう言い終えた直後に暗い顔を見せるルーク。と同時に彼からもコゼットさんと同じくサイモンさんに関する情報を得られることができないと悟った私たちの間に、微妙な雰囲気が広がった。
「てかよ、さっき聞いてたけど、あんたオレと同い年だろ? いちいち敬語で話さなくていいから。な? 年下の勇者様」
 場の雰囲気を変えようとしたのか、ナギはそう言うなり横目でユウリを見た。なんとなく『年下』を強調しているように聞こえるのは気のせいだろうか。
「あたしは皆より一番お姉さんだからね♪ 気軽にシーラお姉様☆って呼んでね」
「全然気軽じゃねえし!」
 まるで打ち合わせでもしてるのではないかと思うくらい息のあったやりとりを見て、ルークに笑みがこぼれた。
「ねえ、ルークは『祠の牢獄』がどこにあるのか知らない? 
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