第3部
サマンオサ
幼なじみとの再会
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る孤島にあるとか……」
コゼットさんの顔には、諦めきった感情が表れていた。
「まさかあの人に会うつもりですか? やめた方がいいと思います。おそらくあの人はもう……」
「そんなの、確かめなければわからないだろ」
「!!」
はっきりとした口調で言い放つユウリに、コゼットさんは跳ねるように顔を上げた。
「で、でも……」
「ちょうど良い。だったら城に行って直接『祠の牢獄』の場所を聞く」
「!?」
「ユウリちゃん、それって結構大博打じゃない?」
シーラも心配そうに尋ねるが、ユウリの性格上、ここで彼が考えを覆すことはないと私は感じていた。
「別にサイモンのことは聞いてないんだからいいだろ」
「いやいや、もっと慎重になろうよ。そんなこと聞いたら絶対捕まっちゃうって!」
珍しくユウリの意見に反論するシーラ。すると、今まで黙っていたナギが口を挟む。
「今回ばかりはユウリに賛成だぜ。なんでそこまでサイモンを目の敵にしてんだ? ぜってー怪しいだろ」
「そもそもこの国のやり方が気に入らん。一度この国のトップの顔を見てみたい」
ナギの意見にユウリもヒートアップする。そんな2人に、私たち女性陣は慌てて止めに入った。
「待ってよ、もう少し落ちつきなって!」
「もう、二人共!! 冷静になろうよぅ!!」
ガチャッ!!
その最中、玄関先から扉を開ける音が響いた。この部屋に出入りできる人は、コゼットさんの他にもう一人、彼女の息子しかいない。と言うことは??。
「母さん、どうして家の鍵が開いて……」
若い男の人の声に反応した私は、思わず振り向いた。
その瞬間、初対面のはずなのに、彼の顔を見た途端なぜか懐かしさを感じた。
「!?」
リビングにやってきたその人物は、私より少し年上くらいの青年だった。ナギより背が高い彼は、少し癖毛の薄茶色の髪に瑠璃色の瞳が印象的で、目が合った途端深い色の瞳に吸い込まれそうになる。
ああ、そうだ。最初にコゼットさんを見たときと、同じ感じだ。ずっと昔、似たような髪と目の色をした少年と、一緒に遊んだような……。
「もしかして……、ミオ?」
「え!?」
初対面の男の人になぜか名前を聞かれ、びくりと身体が反応する。落ち着いて大人びた低い声は初めて聞くものはずなのに、どうしてこんなにも心に響くのだろう。
??ミオ。君はどうして武術の修行をしているの?
そのときふと、幼い頃の記憶が頭をよぎった。そう、あれは私がカザーブの村で師匠に武術を教えてもらってから、一年ほど経った頃のことだ。
師匠であるフェリオに連れられて、ある日突然彼は村にやってきた。最初見たときは人見知りだったのか、背格好の割におどおどしていて、同い年くらいの私とはろくに話もしなかった。だけどある時を境に、私と彼は唯一無二の親友とな
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