暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
幼なじみとの再会
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

『祠の牢獄』。世界にはルザミのような流刑地もあるが、他にもそう言う場所があるのだろうか。
「国家反逆罪って……、一体サイモンさんは何をしたんですか?」
 恐る恐る尋ねると、コゼットさんの目に一筋の涙が流れた。
「わかりません。ある日突然お城の兵士たちがやってきて、お城に連れていかれたのです。彼らが言うには、国王様の命を狙おうとした疑いがかけられたそうですが、そもそも夫はほとんど家にいることはありませんでした。なぜならあの人は正義感が強く、しょっちゅう国を飛び出しては、人々を苦しめている魔物を退治していましたから。そんな人がどうやって国王様の命を奪うと言うのでしょうか」
「なんだよそれ……。ひでえ話だな」
 ナギの言うとおり、なんて一方的な言い分なんだろう。その理不尽さに、私は腹が立った。
「サイモンが疑いをかけられた証拠はあるのか?」
「いえ……。何の説明もなく裁判にかけられ、こちらの弁護もないまま罪状を突きつけられました。そのあと私たち家族が面会する間もないまま、夫は見知らぬ地へと流刑されたのです」
「……」
 コゼットさんの説明に、尋ねたユウリも言葉を失う。
「そんなに腐りきった国なのに、なんで皆何も言わないの? だって、国を支える国民がこんなに苦しんでるんだよ? おかしいよ、絶対」
 珍しくシーラが声を荒げて言った。先ほど見かけたブレナンさんと言う人のお葬式のことを思い出し、私も頷く。
「昔は反発する人たちもいましたが……、その人たちは皆お城の地下にある牢屋に入れられ、ほとんどが獄中で亡くなりました。それから十年以上経ち、今では私たち国民は抗うのも無駄とわかり、国王様の機嫌を損なわないよう気を使いながら生活しているのです」
 十年……!!
 途方もない年月を経たこの国の事実に、私は目の前が真っ暗になった。
 私が知らないところで、ずっと長い間苦しめられている人たちがいる??。そんなやるせなさに、怒りと悲しみ、そして自分ではどうすることも出来ない悔しさが込み上げる。
「なるほど。それならサマンオサが今まで他国と関わらなかった理由が理解できる。出来れば騒ぎを大きくしたくはないが……」
 ユウリが苦い顔で顎に手を添える。
「でもさ、ポルトガの王様からの手紙を渡さなきゃいけないよね」
 シーラの指摘に、眉間に皺を寄せるユウリ。しばらく考えてから、
「手紙は途中で落としたことにして……」
「だっ、駄目だよユウリ!!」
「ふん。冗談に決まってるだろ」
 だったら冗談に聞こえるように言って欲しい。そんな眼差しを向けるも、ユウリは全く意に介してない様子で話を戻した。
「とにかくサイモンがいないのなら、ここに用事はない。それでその『祠の牢獄』の場所は知っているのか?」
「詳しくは知りません。噂では、遙か海の向こうにあ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ