第七百四十九話 本物の馬鹿その六
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「もうな」
「いらないな」
「何かたまにね」
アンはタムタムに実に嫌そうな顔で話した。
「テロが起こっても権力に反対してるならいいとかね」
「国家権力か」
「言う奴いるわね」
「そいつは馬鹿だな」
タムタムは実に忌々し気に応えた。
「権力に反対するなら殺人もいいのか」
「テロでね」
「じゃあお前が殺されろ」
テロを行うテロリスト達にというのだ。
「それがいいならな」
「そうなるわね」
「大体そんなテロを行う連中が何を考えているかな」
このことをというのだ。
「見ろ、そんな連中が国家権力を握ればな」
「その時はね」
「確実に最悪の事態になる」
「人を殺して暴力を振るっても自分達が権力者になりたいならね」
「確実にやりたい放題やってな」
自分達の思うままのことを行ってというのだ。
「粛清もな」
「やるわね」
「自分が嫌っている今の国家権力よりもだ」
「酷いことになるわね」
「そんなことも見ないでわからないならな」
そうであるならとだ、タムタムはさらに話した。
「最悪の馬鹿だ」
「そうなるわね」
「サイコ殺人鬼が権力に反対するならいいのか」
タムタムは問う様に言った。
「殺された人の人生遺族の人達の悲しみや苦しみは考えたことがあるのか」
「考えたことがないから言うのよね」
「人の命の重みに」
それにというのだ。
「悲しみや苦しみをわかろうともしないならな」
「最悪の馬鹿なのね」
「そこに最低も付くな」
そこまでのというのだ。
「馬鹿だ、本当にそいつこそな」
「殺されろってなるわね」
「どうせ人の命の重さも悲しみも苦しみもわからずな」
「わかろうともしないわね」
「それなら生きる価値もない」
最早というのだ。
「それならな」
「殺されてもいいわね」
「そうだ、ただそいつが犯罪を犯していないならな」
それも凶悪犯罪をだ。
「罪にはならない」
「只の馬鹿か」
「最低最悪のな」
フランツにも答えた。
「それだ」
「本物の馬鹿はそんな奴か」
「だからお前は馬鹿じゃなくてな」
そうであってというのだ。
「普通だ」
「そうなんだな」
「学校の成績が悪いとかはな」
こうしたことはというのだ。
「馬鹿のリトマス紙かというとな」
「違うんだな」
「考え方が少し違っていてもな」
普通の人と、というのだ。
「馬鹿じゃない」
「本物の馬鹿はそうした奴か」
「法律がない社会がどうかわからず」
そうしてというのだ。
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