第三章
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「水着になってね」
「お姉ちゃん黒ビキニだったわね」
「ナンパされたことの方がね」
「インパクトあったのね」
「だって声かけてきたのNBAのスターだったのよ」
「マイケル=ジョンソンさんね」
「あんな人に声かけられるなんて」
それこそというのだ。
「そうそうないから」
「それでなのね」
「美人でスタイルいいとか言われたし」
「お姉ちゃん実際にそうだしね」
妹から見てもだ。
「それでね」
「そう言ってもらって嬉しいけれど」
「物凄いことよね」
「リアルで会って」
「声かけられるなんて」
「まさかと思ったから」
だからだというのだ。
「インパクトがね」
「凄かったのね」
「この木を今観ていることもそうだけれど」
「お姉ちゃんにとっては」
「そっちの方よ、ただね」
白いワンピースに麦藁帽子姿の妹に微笑んで話した。
「この木を観ていることもね」
「やっぱりインパクトあるわね」
「ええ、知らない木がね」
歌にある様にというのだ。
「これで知ってる木になったわね」
「観たから」
「ええ、見たし見たこともない木にもね」
「ならなくなったわね」
「だからここに来てよかったわ」
妹に微笑んで話した。
「あんたと一緒にね」
「私もなの」
「あんたと見てお話したでしょ」
自分が高校生だった頃妹がまだ小学一年の頃のことも話した。
「あの時からずっと不思議って思ってたし」
「私と観て」
「それが不思議でなくなったから」
だからだというのだ。
「本当にね」
「よかったのね」
「ここに来てこの木を見てね」
「そう言ってくれたら私も嬉しいわ、この木を実際に見られて」
そうしてとだ、妹も答えた。
「お姉ちゃんもそう言ってくれてね」
「それでなのね」
「よかったわ」
こう言ってだった。
暫く姉妹で木を見た、その木は巨大な姿をそのまま見せていた。二人のことを見てか見ておらずかはわからないが。
知らない木 完
2024・1・15
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