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神の肩入れ
第一章

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                神の肩入れ
 シャマシュ、整えた髭を持つ中年の男の姿をしたこの神は太陽の神である、その彼は今英雄となり大いなることを為すことが定められているギルガメシュが生まれた時にだ。
 すぐに加護を与えた、その加護はというと。
「私が動く前に加護を与えたの」
「そうだ」
 美と愛の女神イシュタルに笑って答えた。
「これは欠かせないと思ってな」
「多くの優れた力と」
「整った容姿をな」
「本来容姿は私が司るものよ」 
 イシュタルはシャマシュにむっとした顔で返した。
「そうだというのに」
「私が決めて不都合があるか」
 だがシャマシュは開き直って言い返した。
「そなたが絶対に決めねばならぬという訳でもあるまい」
「それはそうだけれど」
「ならいいな」
 居直ったまま言うのだった。
「そうだな」
「仕方ないわね」
 イシュタルも渋々ながら頷いた。
「今回はね」
「うむ、あの者は大きなことを為す」
 ギルガメシュを温かい目で見つつ話した。
「なら私はだ」
「彼を助けていくのね」
「そうしよう」
 こう言ってだった。
 兎角だ、シャマシュは何かとギルガメシュを助けた、彼が困りそうならすぐに動いで加護を与えていた。
 それを見てだ、神々は思った。
「肩入れし過ぎだ」
「ギルガメシュを贔屓し過ぎだ」
「加護は必要だが過ぎる」
「思い入れが強過ぎる」
「全くだな」
 年老いた男の神も頷いて言った、シャマシュの祖父神であるエンリルである。
「これはよくないな」
「貴方もそう思うな」
「彼の祖父である貴方も」
「そう思うな」
「孫は他の者は邪険にせずだ」
 ギルガメシュ以外の者をというのだ。
「太陽の恵みの光を常に世に与えているが」
「ギルガメシュを好き過ぎる」
「肩入れし過ぎだ」
「他の者は邪険にせずとも贔屓になっている」
「そうだな」
「わしが見てもな」
 それこそというのだ。
「そう見える、だから機会があればな」
「その時にだな」
「貴方から言うな」
「そうしてくれるな」
「シンが言っても聞かない」
 シャマシュの父神であり月の神である、強い力を持っているがシャマシュは彼が注意してもギルガメシュを助け続けているのだ。
 しかしそれでもとだ、彼は言うのだ。
「だが子供の頃からわしが言うとな」
「聞くな」
「そうするな」
「シャマシュ神も」
「そうなるからな」
 だからだというのだ。
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