第二章
[8]前話
「是非ね」
「そうなんだ、それじゃあ食べ終わってから上演場所探すよ」
ジュゼッペはどうにもという顔で答えた。
「そうするよ」
「それでなのね」
「観に行こうね」
「それじゃあね」
こうして二人はロッシーニの歌劇ウィリアム=テルを観に行くことになった。ジュゼッペは食後青空に約束した通りにだった。
この作品が上演される歌劇場を検索した、そのうえで食後シャワーを浴びてからくつろいでいる彼女に言った。
「今はベルリンでだよ」
「えっ、ドイツ!?」
青空はベルリンと聞いて驚きの声をあげた。
「あの国なの」
「うん、あそこの歌劇場でね」
「上演されるの」
「イタリア語でね」
この作品はイタリア語版とフランス語版があるのだ、フランス語版のタイトルはフランス語読みでギョーム=テルとなる。
「そうされるよ」
「イタリアじゃないの」
青空はジュゼッペに問い返した。
「私達が今いて」
「ロッシーニの祖国だね」
「それでもやってないの」
「そうだよ」
「ドイツ以外の国では」
「いや、EUの何処でもね」
ドイツ以外のというのだ。
「やっていないよ」
「ロッシーニの作品の上演多いのに」
「再発見もされてね」
「忘れられていた様な作品も復活しているのに」
「ウィリアム=テルはね」
今青空が観たいと言っているこの作品はというのだ。
「昔から上演が少ないんだ」
「序曲有名であらすじもそうなのに」
「ロッシーニの代表作の一つでもね」
「日本では小学校の音楽の教科書にも載ってるわよ」
「そうした作品でもなんだ」
「上演少ないの」
「大作で色々上演の条件が難しいのか」
それが影響してかというのだ。
「あまりね」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「今はね」
「ベルリンでしか上演していないの」
「そうなんだ、それで行く?」
ジュゼッペは青空にスマートフォンを観つつ彼女に尋ねた。
「ベルリンまで」
「同じEUだから行き来楽だし」
「運賃と時間はかかるけれど」
それでもというのだ。
「どうする?」
「そうね、そのことこれからお話しましょう」
「お金と時間は大事だしね」
「だからね」
こうジュゼッペに話してだった。
二人でその話をした、それからベルリンに行って観た。それからも二人は歌劇を楽しんだ。だがその作品が上演されている歌劇場を見付けることは少ないままだった。
序曲とあらすじは 完
2023・11・12
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