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自分の荷物
第二章

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「つくづく俺は運がいいな」
「いや、流れ着いたのは遭難したからだろ」
 漁師は彼のそのことを話した。
「遭難するのは運が悪いからだろ」
「いやいや、俺は遭難はいつもなんだよ」
「それでいつも助かってるのか」
「運がいい、アッラーのご加護があるな」
「そうなるか?しかしあんた面白い奴だな」
 漁師はシンドバットの話をここまで聞いて頷いた、彼の若々しく明るい端整な顔と引き締まった身体も見て話した。
「気に入ったよ、辿り着いたっていうと仕事もないな」
「仕事も金もな」
 シンドバットは明るく笑って答えた。
「ないよ」
「自分で言うんだな」
「事実だからな」
「本当に面白いな、そこが気に入った」
 シンドバットの屈託のない笑顔を見ての言葉だった。
「それじゃあ仕事紹介するな」
「そうしてくれるか」
「ついて来な」
 こう言って実際にシンドバットに仕事を紹介した、港で人夫となって働き漁師達とも仲良くしてそうしてだった。
 楽しく暮らしていき馬もだった。
「実際にな」
「孕んだな」
「雌馬をそうしたらな」
 こう漁師に話した。
「孕んだよ」
「あんたの馬が孕んだからな」
 漁師はシンドバットに話した。
「その子供もな」
「俺の馬になるな」
「そうなる、凄い財産を得たな」
「そうだな、俺はやっぱり運がいいな」
「ここでもそう言うんだな」
「仕事に金、しかも住むところまで手に入れてな」 
 この国に流れ着いてというのだ、今彼は住み込みで働いているのだ。
「しかも名馬まで手に入れたんだからな」
「それでか」
「本当に運がいい、アッラーのご加護は素晴らしいな」
 こうも言って神に感謝もした、そんな話をして働いているうちにだ。
 港にある船が入った時に彼は言った。
「何処かで見た船だな」
「そうなのかい?」
「そんな気がするな」
 漁師にその船を見ながら話した。
「どうもな」
「そうなんだな」
「ああ、じゃあ仕事にな」
「あの船に行ってか」
「やってくるよ」
「頑張れよ」
 こうした話をしてだった。
 シンドバットは船に行って人夫として働いた、そうして色々と荷物を船から出していたがそこでだった。
 ふとだ、彼は船長に言われた。
「ちょっと荷物をさばいてくれるかい?」
「どの荷物ですか?」
「これだよ、実は海で拾ったんだ」
「海で、ですか」
「どうも溺れ死んだ商人のものらしくてな」
 それでというのだ。
「まだ中身を確認していなくてな」
「それで、ですか」
「さばいてくれるか」
「わかりました」
 シンドバットは頷いてだった。
 その荷物をさばいて中身を確認した、すると。
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