第三章
[8]前話
あの人間の二人がいた、だが波に流され散々な目に遭った彼は美女を見ても今は声をかける気にはならなかった。
その彼にだ、二人は。
本来の姿を出した、すると彼は仰天した。
「お義父さんお義母さん!?」
「そうだ、お前の悪い話を聞いたが」
「まさか自分の育ての親にまで声をかけるとはね」
「知らなかったんだよ、それにしてもこれって」
「お前への罰だ」
「懲らしめたのよ」
二人は息子を見据えて答えた。
「まさにね」
「思ってた以上に酷かったからな」
「そうだったんだ」
「全く、何時か言おうと思っていたが」
ここでオバタラも出て来て言ってきた。
「その前に懲らしめられたな」
「あっ、お父さんでありお母さん」
「うむ、遊ぶのもいいが」
「誰彼なしは駄目なんだ」
「左様、これからは節度を以てな」
「遊ぶことなんだ」
「そうだ、そしてもっと言えばだ」
オバタラはチャンゴーにさらに話した。
「泳ぎやボートの漕ぎ方もな」
「身に着けることだね」
「世界特にこの辺りは海に覆われているのだ」
それ故にとだ、オバタラは答えた。
「それならな」
「泳ぎやボートの漕ぎ方もだね」
「身に着ける様にな」
「そしてだ、いいな」
「節操を持って遊びなさい」
義両親がまた言ってきた。
「これからはね」
「これで懲りたらな」
「そのことが一番わかったよ、二度とこんな目に遭いたくないからね」
こう言ってそうしてだった。48
チャンゴーは以後は女好きはそのままでも節度を守って遊ぶ様になった。そして泳ぎもボートの漕ぎ方も覚え。
「いや、こうしてだよ」
「自分でだな」
「実家に帰られる様になったわね」
「そうなったよ」
両親の実家に帰って話した。
「有り難いことにね」
「そうだな、振る舞いもかなりよくなったらしいしな」
「暴れることも悪戯も随分減って」
「女好きもな」
「そうみたいね」
「僕も懲りたからね、いや懲りないと」
チャンゴーは両親にさらに話した。
「サンテもわからないものだね」
「そうだぞ、わし等も何度もだ」
「こうしたことがあったのよ」
「だったらな」
「あんたも同じよ」
「そうだね、懲りることも大事だよ」
チャンゴーは唸って言った、そうしてだった。
それからも何度も懲らしめられ何かと経験をしてよきサンテになっていった、中南米に伝わる話である。
好色な雷神 完
2023・10・11
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