第一章
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好色な雷神
中南米にアフリカから奴隷として連れて来られたヨルバ族の人達の信仰がキューバでカトリック信仰と融合して生まれたのがサンテリアである。サンテリアにおいてはヨルバ族の神々がサンテ、キリスト教の聖人ということになって信仰されている。
そのサンテの一柱にチャンゴーという神がいる、チャンゴーは雷神であり大柄で逞しい身体に緑の坂だった髪の毛を持つ黒人の整った顔の神である。
チャンゴーは両性具有の創造神オバタラが自分だけで生んだ子であった、オバタラは中性的な顔立ちの男と女の要素両方を持った外見である。
チャンゴーは生まれてすぐに暴れだした、兎角悪戯好きでじっとしていることが全く出来ない神であった。
そのチャンゴーを見てだ、オバタラは頭を抱えた。
「参ったな」
「あまりにも悪戯好きで、ですね」
「そうだ」
海の女神イェヤマ=アウォジョに困った顔で話した。海の色の髪と目を持つ黒人の美女で虹色の巣カートを穿いている。
「ここまでとはな」
「思われませんでしたか」
「私の手には負えない」
オバタラはこうまで言った。
「とてもな、他にもな」
「創造の神としてですね」
「やるべきことが多いからな」
「それ故に」
「他の子達は大人しいから育てられるが」
「チャンゴーもとなると」
「無理だ、手がかかり過ぎる」
あまりにもというのだ。
「だからな」
「チャンゴーについては」
「どうしたものか」
実際に困った顔で言うのだった。
「一体」
「でしたら」
イェヤマは優しい声でオバタラに申し出た。
「私はです」
「チャンゴーを育ててくれるか」
「夫と共に」
「そうしてくれるか」
「はい、私達には子供もいませんし」
「養子に迎えてか」
「それでどうでしょうか」
こう創造神に言うのだった。
「この度は」
「是非頼む、実際にだ」
「チャンゴーはですね」
「あまりにも手がかかり過ぎてな」
その為にというのだ。
「私ではだ」
「他のお仕事や子育てもあって」
「手が回らない、それではな」
「チャンゴーは私と夫で」
「宜しく頼む」
こうしてだった。
チャンゴーはイェヤマと彼女の夫神に養子に迎えられた、身体は大人でも心は子供のままだったので子供として育てられた。
家族仲はよくチャンゴーは暴れん坊で悪戯っ子のままだったがすくすくと育った。そうして心が聖人するとだった。
独立して雷神として独り立ちした、だが。
夫の虹の神オチュマレ虹色の服を着た長身の黒人の姿の神が妻に眉を顰めさせてそのうえで話した。
「雷神としての務めは果たしているが」
「世界にはしっかりと雷が落ちているわね」
「雨と共にな」
「あの子もね」
「しかしだ」
ア
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