第三章
[8]前話
「あの星座日本でもだよ」
「見られるか」
「うん、そういえばね」
古田は長谷川にその星座を見上げながら話した。
「あの星座ここでもね」
「見られる星座か」
「そうだったよ」
「そうなんだな」
「それでね」
さらに話した。
「お昼にカレー食べてる時に食事しかね」
「日本感じられないって言ったな」
「けれど」
「星座もか」
「例え日本とかなり離れていて」
そうしてというのだ。
「何もかもが違って大変なことになっている場所でも」
「同じ星座は見えるんだな」
「星座によるけれど」
「その場所で見られる星座と見られない星座もあるからな」
「そうだしね、けれど」
「日本とガザで見られる星座もあるんだな」
「そうだね、何かね」
その星座を見つつだ、古田はさらに言った。
「ちょっとしたことだけれど」
「同じ星座が見られることもな」
「それでもね」
「何か嬉しいな」
「それだけでね、それで元気が出たし」
嬉しい気持ちになってというのだ。
「ここでね」
「頑張ろうな」
「うん、ガザの人達の為にね」
「そうしような」
こう話して古田は実際にPKOでの任務を頑張った、そしてガザにいる多くの人達を助けもしたが当のだ。
ガザを廃墟にした国の軍そこにいる軍人達は違った、街を一つ廃墟にして多くの人を犠牲にしても悪びれることはなかった。
そのうえでPKOに参加している国々の軍事関係者達から白い目で見られていた、彼等はそのことにも平然としていたが。
その彼等の基地に行って夜帰った時に古田は長谷川に言った。
「この国の軍人さん達は誰も夜空見上げないね」
「ああ、周囲を警戒してばかりでな」
長谷川もそれはと答えた。
「一切な」
「見ないね」
「上を見上げても」
それでもだ。
「敵機やミサイルがないかだし」
「夜空なんて見てないな」
「そこにある星もね」
「見ないな」
「星を見られるかどうかはその人次第で」
「ああした連中は見ないな」
「そしてそこから得られるものもね」
その彼等を冷めた目で見つつ長谷川に話した。
「ないよ」
「そうだな、そう思うと連中はな」
「自業自得だけれどね」
「可哀想な連中だな」
「全くだよ」
こう言ってだ、古田は長谷川と共に自分達の駐屯地に戻った。そして任務を終えると彼や同僚達と共に日本に戻った。日本に戻った夜に上を見上げるとその星座があって彼はあらためて微笑んだのだった。
故郷の星 完
2023・12・11
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