第七百四十八話 球種は三つだけその十
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「好きだからな、そして引退してもな」
「野球したいのね」
「ずっとな」
「死ぬまで?」
「その通りだ」
まさにというのだった。
「俺はな」
「ずっと、死ぬまで」
「野球をしたい」
「引退しても」
「プロでそうなってもな」
それでもというのだ。
「コーチなりアマでもな」
「やりたいのね」
「何処でも野球は出来るからな」
「兎に角野球したいのね」
「そうだ」
こう言うのだった。
「俺はな」
「それでそう言うのね」
「おもってな、ただ」
「ただ?」
「怪我をしたら本当にな」
その時はというと。
「限界も早いかもな」
「俺にもいつも言っているな」
フランツがタムタムに言ってきた。
「怪我には気を付けろってな」
「一番怖いからな」
「怪我がだな」
「野球だけじゃなくてどんなスポーツでもな」
「怪我が一番怖いな」
「特にお前はピッチャーだ」
フランツに彼のポジションのことも話した。
「それなら尚更だ」
「ピッチャーは精密機械だな」
「そうだ」
まさにというのだ。
「肩も肘も足腰もな」
「全部だな」
「精密機械でだ」
そうであってというのだ。
「大事にしないとだ」
「駄目だな」
「利き腕は特にな」
「肩も肘もでか」
「手首も指もな」
まさにその全てがというのだ。
「爪もな」
「爪が割れるとだな」
「それだけで駄目だ」
ピッチングに悪盈虚が出るというのだ。
「それでだ」
「大事にしないと駄目だな」
「だからお前にもいつも言っている」
そうしているというのだ。
「利き腕は特にだ」
「大事にしてだな」
「怪我をするなとだ」
「そうだな」
「そしてだ」
さらに言うのだった。
「ピッチング練習は程々でな」
「主に足腰を鍛えることだな」
「ピッチャーの利き腕は消耗品だ」
「だから練習でもか」
「練習は絶対でもな」
しなければならないがというのだ。
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