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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第199話:新たなる幹部
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南極での戦いで、颯人達は見事に棺の機能を停止させることが出来た、そして動きを止めた棺からは、その内部から恐ろしいほど長い年月を経たと思しきミイラの存在が確認された。
嘗てこの星に存在したカストディアン。神と呼ばれた、アヌンナキの遺体。
その遺体……と言うより聖骸だが、その後の研究機関への移送に関してひと悶着あった。
まず真っ先に名乗りを上げたのはロシアである。聖骸はロシアの観測基地近くで発見された物なのだから、自分達が調べる権利があると言わんばかりにそのまま回収しようとした。だがそれに関して横槍を入れたのがアメリカ政府だ。アメリカの言い分としては、聖骸の回収にロクな尽力もせず成果だけを掻っ攫おうとするロシアの行動が見過ごせなかったのだろう。加えて、対立国に聖遺物関連の重要な代物が渡るのだけは何としても避けたい。そう言う思惑から、アメリカ政府はロシアにより聖骸の移送に異議を唱えた。
対して意外なほどに静かだったのは日本政府だ。現状どの国よりも聖遺物に関する知識が豊富な日本、より正確に言えばS.O.N.G.の大本となる組織を有していた日本政府であれば、ここぞとばかりに権利を主張してきても不思議では無かった。
だが誰の予想をも裏切る形で、日本政府はこの件に関しては沈黙を貫いた。誰もがその事に首を傾げている間に、ならばと名乗りを上げたのが他ならぬアメリカ政府である。日本に次ぐ聖遺物関連の研究機関を持っていたアメリカは、嘗て存在していたF.I.S.に準ずる研究機関を起ち上げ、残されていた聖遺物関連の知識や情報を纏め再び日本と並ぶ聖遺物関連の研究を行っていた。
そう言った実績と純粋な国力により、聖骸移送の権利をもぎ取ったアメリカによりアヌンナキの遺体は米国空母『トーマスホイットマー』により移送されていた。
尚その決定がなされた際、真っ先に異を唱えたのはアリスであった。
曰く、
「今回の遺体はただの遺体ではなく嘗て神と呼ばれたほどの力を持つ存在の遺体です。長い年月を経ても尚何らかの力を持っている可能性もあります。それの移送を、通常装備しか持たない空母で行うのは非常に危険です。何らかのトラブルが起きた際どうするのですか?」
米国空母による移送の決定に対し、アリスは臆せずその責任者に直談判した。加えて彼女は、それほどの物であれば超常的な力を持つ組織が奪取しようと目論む事は容易に想像が出来る。故にその防備の為、移送はS.O.N.G.が行うか同行するのが最も最善とも進言した。
だが米国側の責任者はそれを突っ撥ねた。彼らとしては、過日の反応兵器使用とその報復によるマンハッタン島の消失と言う手痛い失態を聖骸移送の成果をもってして埋めたいのであろう。反応兵器の強行使用は日本を始めとした諸外国から大いに反
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