暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第199話:新たなる幹部
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感を買い、そしてワイズマンにそれを利用されて逆に自国に領土を焼かれた事は国内からの反感を買った。結果反応兵器使用の決断を下した前大統領は辞任せざるを得なくなり、新たにその地位についた新大統領は何らかの成果を欲していたのだ。

 結局、大国の意向に個人の意見が尊重される訳もなく、アリスの主張は完全に封殺され聖骸は米軍空母により移送される事になってしまった。

 仕方なく移送を彼らに譲り、しかし不測の事態が起こった時の為にS.O.N.G.の本部潜水艦は近付けるギリギリの所を航行する形で彼らについて行く。するとそれから暫くして、ある意味では予想通りに移送していた米軍艦隊がアルカノイズによる襲撃を受けたのである。

「洋上にアルカノイズの反応を検知ッ!」
「米国空母・トーマスホイットマーが襲撃を受けていますッ!」

 朔也とあおいの報告に、颯人達も苦い顔になった。そら見た事か……と。

「やっぱり、南極の遺骸を狙ってッ!」
「こっちの申し出を無碍にしやがるから……ッ!」

 結局は自分達で対処できない敵からの攻撃に一方的な被害を受けている様子の米軍艦隊の様子に、クリスが苛立たし気に片手で握った拳をもう片方の手に叩き付ける。透はそれを宥めつつ、正面のモニターに映る現場の様子を観察した。

「……魔法使いは居ないんですね」
「あぁ、今のところは確認されていない。現れたのはアルカノイズだけだ」
「じゃあ、今回の襲撃は逸れの錬金術師を抱える組織って事か?」

 奏の予想に、しかし颯人は眉間に皺を寄せたままであった。どうにもスッキリしない。仮に敵が南極の遺骸を狙ってきたとして、その存在を知ったのであれば自分達が警戒している事だって予想出来る筈である。そしてそうであるならば、今更アルカノイズ程度で相手になる筈がない事も分かる筈だった。

「確か、警戒待機してるのは切歌ちゃんと調ちゃん、それにガルドだったよな? 今どうしてる?」
「先行しています」

 あおいの言葉通り、米軍艦隊襲撃の報を受けてすぐに3人は人員輸送用ミサイルに乗り現場へと急行していた。

 ミサイルのハッチが開き、分解したミサイルから2人の少女と1人の男が飛び出し重力に身を任せて真下の海上に浮かぶ空母へと落下していく。

 その最中、ガルドは落下している切歌へと声を掛けた。

「切歌ッ! LiNKERを忘れてるぞッ!」

 奏同様シンフォギアを纏う際にLiNKERを必要とする元F.I.S.組の彼女らは必ず新型のLiNKERを携行しなければならないのだが、今回切歌はうっかり忘れていた。幸いな事に調が持ってくれていたので、切歌がシンフォギアを使えないと言う事態にはならずに済んだ。

「切ちゃん、これッ!」
「およよ、うっかりしていたのデスッ!」

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