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俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
圧政の国サマンオサ
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「なんかこう、いけ好かない感じの町だな」
 サマンオサに入ってから、いきなり無遠慮な台詞を言ったのは、ナギだった。
「ちょっとナギ、そういうことあんまり大っぴらに言わない方が良いよ!?」
 私は慌てて人差し指を口の前に当てながら忠告する。だが言われた当人はそ知らぬ顔で、町のメインストリートに並ぶ多くの店を眺めながら歩いている。
「ふん。俺もバカザルの意見には賛成だな」
 いつもは犬猿の仲のユウリも、ナギの言葉に同意している。
 まあ、実は私も薄々気がついてはいた。家や店の建物自体は立派だが、よく見ると塗装が剥げていたり、外壁にヒビが入ってたりしている。旅の扉があった建物ほどひどくはないが、こんな人通りの多い場所なのにちゃんと管理していないのはどう言うことなのだろうか。
 それに、町行く人々も皆、浮かない顔をしている。ずっと窺うように辺りを見回す男性や、足早に去っていく女性、母親と手を繋いでいる子供でさえ、どこかぎこちない表情だ。
 そう、まるで誰かに監視されているような、物々しい雰囲気なのである。
「二人とも。ここはミオちんの言うとおり、大人しくしといた方がいいと思うよ」
 二人に反発したのはシーラである。やはり彼女もこの町の異変に気がついているようだ。そして、私たちにしか聞こえない声で続けた。
「町の入り口にいた兵士の言葉、たぶんあれ、本気で言ってるんだと思う」
 少しでも目に余るようなことをしたら、相応の罪を償ってもらう。確かそんなことを言っていたはずだ。
「……お前が言うのなら、本当なんだろうな」
 いつになく真剣なシーラの言葉に、ユウリも納得せざるを得ない様子を見せた。というか最近のユウリは、シーラの言うことには素直に従ってる気がする。
「じゃあさ。取り敢えずサイモンさんの居場所を見つけてからお城に行こうよ。その前に問題になったら大変だし」
「そーだな。手紙自体は急いで渡さなくてもいいんだもんな」
 私の提案に、ナギを含む3人が頷いた。私たちの目的はあくまでサイモンさんに会ってガイアの剣のことを聞くこと。出来れば譲ってほしいところだが、そこは交渉次第と言うことだろう。
 今歩いているメインストリートを真っ直ぐ行くとお城に続くようなので、迷うこともない。取り敢えず手当たり次第サイモンさんの家を尋ね歩くことにした。



「あっ!! ねえねえ、格闘場があるよ!!」
 格闘場の看板を目にしたシーラが、今までになく興奮した顔で私の服の裾を引っ張った。賭け事が大好きなシーラにとって、モンスター同士を戦わせる格闘場は、一刻も早く足を運びたい賭博場であった。しかし、さすがに寄り道している場合ではない。
「ダメだよシーラ。まずは目的を果たさないと」
「わ、わかってるって〜。それにお腹も空いてるしご飯も食べないとね
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