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富士の樹海は出る
第二章

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「あの人が何かわかるな」
「ああ、俺もな」
「だからだ、いいな」
「それじゃあな」
 文字通りそそくさとだった。
 二人はその場を後にした、そしてその人からかなり離れてからだった。衣川は橘に対して強い声で話した。
「ここは遭難するところでな」
「それだけじゃないよな」
「自殺の名所でな」
 そうでもあってというのだ。
「こっそりと殺した人の亡骸をな」
「捨てたりするらしいな」
「そうした場所でもあるからな」
 あからだというのだ。
「ああした人もいるんだよ」
「幽霊か」
「何でも自衛隊の人が入るとな」
「訓練でか」
「結構見るらしいな」
 衣川は何を見るかも話した。
「仏さんを」
「自殺したり捨てられた人か」
「あの人がどうしてあそこにいたかは知らないがな」
「それでもか」
「どっちにしてもいい死に方をしていない」
「怨霊か」
「だからこっちを凄い顔で見てたな」
「怨めしそうな」
「若し近寄ったりしたらな」 
 その時はというと。
「何されるかわからないぞ」
「祟られるか」
「それか連れて行かれるかだ」
「あっちの世界にか」
「ああ、ああした人もいるからな」
 それ故にというのだ。
「ここはな」
「注意して行かないと駄目か」
「若し一人で迂闊に入れば」
 樹海の道以外の場所にというのだ。
「本当にな」
「よくないな」
「ああ、変なことになりたくなかったらな」
「遭難だけじゃないな」
「連れて行かれたくないならな」
 このことも言うのだった。
「本当にな」
「迂闊に樹海に入らないことだな」
「ああ、じゃあ帰ったらお祓いしてもらうか」
「怨念受けたかも知れないからか」
「そうだ、何か一番怖いか」
 衣川は真剣な顔で話した。
「俺は怨念だって思ってるんだよ」
「樹海以上にか」
「ああ、樹海も怖いがな」
「そこにある怨念はか」
「もっと怖いしそれを見たからな」
 こちらに明らかに向けられているそれをというのだ。
「だからな」
「ここはか」
「帰ったらな」
 そうしたらというのだ。
「もうな」
「お祓い受けないと駄目だな」
「さもないとな」
 そうしなければというのだ。
「怖いぞ」
「これからどうなるか」
「怨念は馬鹿に出来ないんだ」
 こう話して二人は実際にだった。
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