第3話:ピカチュウの慈愛
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、どうする?」
その質問に対し、マドノは容赦なく剣を振り上げる。
「決まってんだろ。そこのモンスターの卵もぶっ壊す。例え雑魚でも経験値の取りこぼしは、許さねぇ!」
と言う夢をグートミューティヒが観た。
「やめろおぉーーーーー!」
飛び起きたグートミューティヒは汗だくだった。
そして項垂れた。
「……何やってんだろう……僕……」
そして、グートミューティヒは唐突にこの旅の経緯を振り返る。
育ての親達によると、グートミューティヒは赤ん坊の時から既に孤児だったらしく、とある町の道端で置き去りにされているのを発見して拾ったそうだ。
そんなグートミューティヒを拾ったのが、人類の安全な暮らしの為にモンスターの研究と観測を行っている学者達であり、彼らの息子として育てられた。
その結果、モンスターの中にポケモンや召喚獣の様な人類の味方になり得る可能性を秘めた者も多い事を知るが……
だが、悲しかな、世論や大衆は画一一様、異口同音、単純単調、万人一色ばかりな上に同調圧力と排他主義が横行し蔓延していた。
それを見返したくて星空の勇者に選ばれたマドノの魔王討伐に同行しようとしたが、グートミューティヒが魅せられたのは同調圧力と排他主義に溺れ染まった残酷過ぎる現実のみであり、そこに多種多様や共生共存が入り込む余地が無い絶望的な環境だった……
「これじゃあ恩返しにならなよ……」
宿を出たグートミューティヒが当ても無くトボトボと歩く。
その顔には10歳とは思えぬ暗さがあった。
「はぁー」
これは何度目の溜息だろうか?
そんな時、ただでさえボロボロなグートミューティヒの心を更に傷つける事件が発生した。
「逃がすなぁー!そのモンスターは俺達が狩るんだぁー!」
どうやらモンスターが何者かに追われている様である。
普通の人間であれば、追撃者を応援するか加勢するかだが、グートミューティヒは違った。
「やめろ!そいつは既に戦意を失ってる!」
グートミューティヒは逃げるモンスターを庇ってしまったのだ。
「おい。そこの小娘、何やってんのか判ってんのか?」
どう視ても追撃者達の方が悪人顔に見えるグートミューティヒは臆せず言い放つ。
「それはこっちの台詞だよ。逃げる背中を寄ってたかって追い回して、傷付けて、カッコ悪いと思わないのか?」
勇者マドノと対立する事を決意したグートミューティヒが一貫して貫いて来た美学!それが『逃げる者は追わず』である!
自分が逃げてる時に攻撃されるのも嫌だが、逃げる敵を攻撃するのも嫌なのだ。
するのもされるのも嫌だ。自分がされて嫌な事は、相手だって嫌に決まってる理論である。
だが、グートミューティヒは背後にいるモンスターをチラ見すると、
「ツツケラじゃないか!何で!?」
傷だらけのツツケラに驚いてしまったグートミュ
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