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帝国兵となってしまった。
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るから手に入らない。届かないからこそ届くんだ星空を、星を捕まえようとした手のように。

 「今日は満月か。」
 月の欠けがない空に、雲は一つもなかった。それを見て、俺は決めた。一般人の足掻きがお前を殺すんだ。市民こそがいや大衆こそがお前を殺す。神は死んだ。そんな夜だった。水底に沈んだ水晶を思い出させる。
 
 「作戦開始だ。」
 当初の計画通りに開戦前夜、これは物資や無線の数量で考察した範囲ではあるが……地盤沈下によるガス管破裂と水道の断裂を理由に国境地帯近くの街から住人を避難させる。

 「持っていけない物資はどうしますか?」
 副官のアルベルト・ガーレン少佐が聞いてきた。そんなものは最初から決まっている。

 「残る市民に配れ、使いきれなかった資金もだ。解放者を名乗るフランソワ軍は彼らに鷹揚として更には大義名分を果たすために物資を我々より使わないといけないはずだ。だからこそ、資金も物資も集めていたんだ。そして、こちらの反撃時には市民から徴発するだろう。そうすればフランソワの大義やフランソワに期待する市民が減る。」
 まぁ、略奪はしないだろう。流石に教育を受けている軍人なのだから、ルーシー連邦じゃあるまいし。

 そこから数日、フランソワ軍を引き付けながら、市民たちを帝国内部に下がらせる。特にフランソワ軍は中立宣言をした都市に対して疑いを持って軍を使って居ない帝国軍ゲリラを探し時間を潰している。ゲリラを探す過程でかなりの横暴さを出しているらしく反発がかなりあるようだ。急速に侵攻しすぎた反動で彼らの補給は滞っているらしく、何より機甲兵力の少なさがより拍車をかけてもいて、歩兵師団ばかりで突破力も低い、機動力も低いのに強行軍で土地を獲得するので圧迫に次ぐ圧迫で補給は雀の涙のようだ。

 退いていく街に最初は半島近くまで撤退したが、しつこいフランソワ軍の強行軍による追撃戦だ。そして、帝国南部までひたすら移動する。協商連合、共和国も明らかに係争地より深く進軍しているだろう。

 今頃、ターニャ・デグレチャフは銀翼突撃章を貰ってるところだろうか?それにしても援軍が遅い。バークマンは何をやってる?
 「これで50人目か。」
 開戦4日でほぼ寝ずに出撃して撃墜数が50人を超えた頃、そう言えばイスパニア内戦と合わせて100人を超えた、戦闘機も28機落としている。なんでこんな事に?迫りくるフランソワ軍の攻勢を叩き潰すが、フランソワ軍はすぐに補充をして向かってくる。俺を狙うように。なぜだろうか?

 その後も何度も迫る一緒に逃げている市民を無差別に攻撃するフランソワ軍と加速度的に増えていく避難民、フランソワ軍は『市民を盾にするな!』と騒ぐが無視をして避難を続けていた。更にはフランソワ軍は追撃戦に夢中となり俺等を追いかけ回してくる。長い
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