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帝国兵となってしまった。
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 渋々であるが降りてきた将校を見る。遠目ではわからなかったが古さやサイズのちぐはぐさを感じる。これはまるで古着屋で揃えた誂えという形だ。最近になってから帝国は軍服統一などに力を入れて大量生産、大量保存をしている。支給品としての軍服を確立させたのはやはりではあるが、麦の会である。

 麦の会は地方行政に入り込んで隣組の創設や回覧板、防空壕の建設、愛国郷土防衛部隊“オルドヌング・ゲミュートリッヒ”なるものまで作り、帝国は世界から狙われているのだから、帝国人は手を取り合い団結し、結束し国難を乗り越えようという話まで耳に入ってきている。彼らは挙国一致こそが社会を救うというが国内意見を統一したところで外にはなんの影響をもたらさないのだから、悲しいだけだと思うけど。

 「小官は!」
 みなまで言わさずに俺は眼の前の青年に思い切り障壁をまとわせたパンチで沈めると建物の陰に飛び込む。デモ隊たちも路地に逃げると中尉たちは近くの建物の中に飛び込んだ。戦いの始まりだ。捕まえている兵士の持ち物を確認するとわかったのはコイツらは純帝国軍人だ。

 そして、彼らは“平和に備えよ!汝平和を欲さば、戦への備えをせよ”と書かれた紙だった。跳ね返りの青年将校であるのは間違いはない。しかし、コレほどの装備を数揃えるのは並大抵のことでない。後ろになにがいるかは問題ではない。問題は帝都で問題が起こったという事実。これを名分にバークマンが帝都掌握をやりかねない時期だ。合法的クーデター、バークマンが首相と団結し、皇帝に話を通せば非常事態宣言からの超法規的措置の乱打でバークマンがかの議会と帝都を手中に収めるのもゆめゆめありえない話ではない。バークマンには実働隊が帝都にいるだけでも6000人以上はいる。それに、皇帝に政治を返還し国賊の議会を誅伐すると言い始めれば連戦連勝で蘇ったベリサリウス呼ばわりされて人気があるバークマンに国民が信任を与えるのは当然の行動かもしれないがバークマンが政権を握るとまず戦時国債や軍票による景気刺激策で少しは良くなるかもしれないがあとが大変だろうな。

 俺は関係ないが、ある程度初戦を緩やかにすれば俺は退官できるというわけだ。俺は所詮部外者、あとはターニャ・デグレチャフに任せるのが筋というものだろう。俺は俺、ターニャはターニャ俺は俺、あとは帝国、流れに任せよだ。
 
 奴らは少数なのだろう。じゃなければこの様な奇襲よりも首班を建ててもう少し堂々と重要地点に強襲をかけるはずだ。孫子曰く『先ず勝つ可からざるを為して、以て敵の勝つ可きを待つ』である。まぁ、それが出来ても呉起も韓信も殺されたけど。『驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。』ともある。同時にこの叛徒らはクーデター軍ですらない跳ねっ返りにすぎ
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