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帝国兵となってしまった。
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軍と空軍から抽出された顔も家柄も良いとされる広告塔に選ばれたパイロットたちと航空魔導師が所属してる部隊だ。主な仕事は債権の販売とプロパガンダ映画やプロパガンダ写真などに動員されていたはず。彼らのお陰でイスパニア内戦の国債も飛ぶように売れたから俺もお世話になっている。だから、覚えていた。

 『君たちは包囲されている!投降しろ!』
 いやおかしいな。巨大な魔力反応が多数。コイツら、吹き飛ばす気か?いや、そもそも参謀部付きなのか?参謀部付きの軍服の中古は帝都の古着屋を巡れば一式揃えられるだろうケーペニックの大尉事件なども前世では良く聞いた話だ。参謀部を騙っているのだろうか?確かにここで始末するなら、すれ違うであろう2部隊を誤魔化す事ができるので、それも悪くはない。だとすると奴らは本当に帝国軍人なのだろうか?もしかして、連合王国の特殊部隊か?そんな訳はないか。いや、しかしあの格好は……。

 「そちらの所属を聞きたし!小官の名はフリードリヒ・デニーキン・ジシュカ!少将に任官されたものである!帝都の中心の果てよりこの場へ来た!貴官たちは中央の第601試験技術大隊所属か!」
 まだ203大隊もないし、601もあるわけがない。つまりこれに引っかかるのなら偽物ということだ。偽物にしても奴らは何のためにやっているかだ。宝珠に撮影をさせる。

 野獣的な直感ではあるが陰謀の匂いがする。明らかに抑揚が緊張の色を帯びていたように見える。偉いのなら人にそれを誇示するのも慣れているはずだ。この陰謀の淵も深いところだ…それならば噛み砕いて陰の謀を晒してやる。そちらのやることはわかっているのならば、こちらもやるだけだ。どの地点の謀かは知らないが「能や芸や慰め、何もかも要らず。 ただ武略、計略、調略が肝要に候。 謀多きは勝ち、少なきは負け候と申す。」とある。

 敵に大内義隆、尼子経久、毛利元就並の知謀の徒がいる可能性もあるが大内義隆はともかく、尼子経久、毛利元就級が居たのならば一般人の俺ではどうすることも出来ない。力だけが強くても吉川興経や本城常光のような末路に至ることもある。

 驕れる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。である。実際にこのままだと帝国は朝露の如く消えるだろう。その点においては間違いない。軍部と議会が責任と義務を押し付け合い、権利を主張し、国民も責任と義務を軍部と議会に押し付け、権利を求めて、それを享受するのが今の帝国。主軸がない。

 そんな軸足がないのにパンチをしたところで、拳が出す衝撃、インパクトというのは劣る。だが、強いリーダーが現れても議会、軍部、国民が責任と義務を押し付ける相手を得ただけで国の強さには繋がらない。全部は民度により強さが決まるのだ。

 単純な武力だけで見れば、蛮族思考も近代意識もあるバランスが取れたこの帝国は
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