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良い。車に乗り込んでからも考える。俺は戦争犯罪とは少しだけ遠い西部戦線だ。橋が遠すぎるなんてことにはならなければいいが。
初期だけならフランソワとの決戦後に辞めれば良い。ある程度先は見えているがこちらの被害もフランソワの被害も少なく帝国の被害も少なく勝つ方法は‥‥‥あるな。装備さえあれば‥‥‥このヨーロッパみたいな世界は道が完備されている。“道”がだ。中将という階級になってしまうかもしれないがそれだけ辞めやすいだろう。
近衛の管轄から出ると軍の検問があった。なにやら、議会が事件を起こして田舎から来た市民が騒いでるらしい。ちょうど季節はサマーシーズンがやって来る前の6月で、これから7月になる前のバケーション需要でなんでも高く売れるし、労働力を集める時期だ。特に出稼ぎと行商が増える季節。失業者はイスパニアとダキアにやっている紐付き援助で減ったとは言え、まだ予断を許さない程度にはいると言われている。失業率が二桁とも言われており、農業の機械化と化学肥料による大規模農業化の波、国民の麦と秋津島が開発した背が低い穀物苗による効率化、水路の舗装化などが推し進められ農村で劇的な変化が生まれたとも言われている。
それに対して都市部では彼らを安い賃金の工員として雇ったり、日雇い労働者としていたり、そもそも雇えなかったりと都会にでたはいいもののという風刺紙芝居が流行ってるとも聞いた。若い将校はそれに胸を痛めてるそう。よくわからないが。
そういえば、今の検問の軍人も訛っていた気がするが首都防備隊は色んな地域から集められて、結託を無くして首都の叛徒も撃てるように差配されてるとも聞いたような。まぁ、いいか。
フランソワと帝国の戦死者を減らしてしまえば良いのさ。そうと決まれば家に帰ったら国民の麦に連絡しよう。彼らなら調達できるだろう。
「あれは?」
帰りの車の窓から見えるデモ隊の群れを見た。デモ隊の看板は車のライトに照らされて一瞬だが読み取れた。
“議会は恥を知れ!皇帝陛下の名のもとに平等を!”
“皇帝制社会主義への転換へ”
“皇帝陛下の慈悲が盗まれている”
そんな文句が並んでいた。長い列だ。大蛇が首をもたげるような。
このまま行けば宮殿に向かうのだろうか?
俺は無視をして寝ようとするが乾いた音が響いて、後ろが明るくなり俺は車を止めさせた。まだまだ俺のいちばん長い日は終わりそうになかった。なんで俺ばかりなんだよ!運転手に安全なところに逃げろと伝えると腰に差したサーベルと銃を確認する。宝珠もある。
しまった!階級章とかをバークマンのところにおいてきた!取りに行く時間はない!
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