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残り一ヶ月それがあの地獄のような、いや、地獄そのものの大戦までに残された少ない期間だ。その貴重な時間にも関わらず、俺はバークマンからの呼び出しを食らって、近衛部隊本部に向かう車に乗った。帰る少し前だったので、最近下賜された防水性の腕時計を見ると時刻は19時ぐらいだ。帝都に浮かぶ宇宙を彩る星々の輝きが作る大海を眺めていた。星の頂に手が付けば人は変わるのだろうか?
いや、変わらないな。人は人だ。そう簡単には変わるはずはない。しかし、人々は大衆こそが希望の篝火だ。大衆の中に希望などが尽きないほどにやがては光が満ちるだろう。火は止めてはいけない。神はなぜ、プロメテウスを罰したのだろうか?希望の火を与えたからだ。火はやがて大火となり、神を自称する高慢な者たちを焼くだろう。それは存在Xや連合王国、合州国であっても避けられない。だからこそ、他者に理解と尊敬を払う姿勢こそが重要なのだ。何百回、何千回裏切られてもそれをする姿勢が重要だ。人は人に裏切られたことしか言わない。自分が無自覚で裏切ったり、勘違いしたことを言わない。他者を責めるときだけは、声高に叫び、相手の立場も考えずに自分だけが被害者だと思い上がり、加害者になる。自分が何を相手にしたのかを忘れて相互にそうなる。
前世では自分の無能を棚に上げて他者を責めることで、自己防衛をし、自分だけは正しいと思う人間を沢山見てきた。皆自己中心であり、自己中心を咎められると自己責任論と怒りを持ち出してくる。また、自己中心を咎める側も自己中心であり、己の否を認めないのだ。そんな社会が世界に広まったのを素晴らしいとしたのが、人類というやつだがでも、それでもおかしいと誰かが抗っていたのも人類というやつだ。おかしいことをおかしいと言えずに価値観と価値観を押し付け合うだけの獣に成り下がるだけの存在ではない。星の瞬きを見ると人々は自分が砂漠の砂粒だと気付くだろう。多くの人は井の中の蛙なのだ。
ならば、大海を知らねばならぬ。じゃなければどうなるというのだ。価値観を押し付けあって、不利なときに自分はこういう病やなんやをもっていて仕方ないというのか?多くの人は半天狗であろう。自分が悪くないと他者に押し付ける。その一環で上司も部下も責任を押し付け合う。家族もだ。カオスであり、アノミーなのだ。
揺れる車が作り出す、振動が伝わり眠気を飛ばすそんな道を感じながら、視線を町並みに移した。この揺れだと帝都といえどもまだ舗装の余地は残されている。舗装は必要だよなと考えながら、再び俺は夜空を見ていた。
宇宙に浮かぶ無数の星、流れ星が見えるいや、あれは彗星かな?彗星だったら、もっと光が強いよな。また、視線を町に戻す。
街の大通りにはもう職を求めて行進する国民の姿はない。帝国は次々に増えた経済圏により、失業率が減少していた
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