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良いか悪いか傷はすぐに治ってしまった。一応と言うことで経過観察として、首都の軍病院に送られた。検査結果は全て、医者からは「問題がなさすぎるのが問題だ。健康と一言で済ませるには憚られるほどの優良体。世界大会に出れるほどだ。」と言われてしまうくらいに完治をしていた。3日間の検査入院の後に、退院する前に手続きがあるからと余計に1日も時間を持て余す結果になり、リハビリがてらに病院内を歩いてみる。
いくら時間が余っているからと言って国民の麦が出しているとんでも新聞ばかりを見ていたら気が滅入る。
今回のイスパニア戦役で出た怪我人の多くが帝国側に輸送されている。帝国はクリーンだと宣伝したいのだろうが、いうほどクリーンなのか?クリーンだといいけども。
廊下の窓から外を見ると3月なのに桜が蕾をつけかけている。秋津島から贈られた桜はここに植えられていたのか。帝国からは月桂樹とライヒオークと言われるナラの木を返したそうである。友好の証なのかは知らないが今回の件で帝国に留まっている秋津島人達がそれを見るためか屯していた。
「春か。」
春というよりも体感に暖かみがないのは病院の色彩なのか石の街である帝国という地域だからであろうか。というかアイツら、勝手に火鉢と茣蓙を用意してるが良いのだろうか?まぁ、監督する立場にはないからほっとこう。
気を取り直し、廊下の窓から病室側に目を向けた。
病室を見ると病室前のネーム(現代なら個人情報の観念から無くなったモノ)に見慣れた名前、中を見ると大部屋にはあのモーズレリィーか横たわっていた。あとタバコ臭い(この世界だと一般的に病室でタバコを吸う者が後を絶たない。)後々に聞いた話だが彼は貴族だからと士官用の個室を用意されたらしいが信念に基づいてに入るのを許さなかったようだ。
「久しぶりだな。」
モーズレリィーはこちらの声に気付いて敬礼をするが辞めさせる。そもそも義勇兵に敬礼させる正規兵とか外聞悪すぎるだろう。向こうは現当主で、今の俺であるジシュカは地方の小さな土地の地主の息子であるから立場が違う。
この数年、向こうから来た手紙や軍の情報などからは、この体の親は地主は地主だが政治的に些か不安定で、グーツヘルシャフト的なモノからでたユンカー的な何かと自由主義改革派と中央政府の中間で板挟みにあっており、基本的に俺の活躍とされているもので中立を保てていると聞く。とはいえ、東寄りの地主にしては総人口約2500人程度の自治体で昔から領主や地主をしながら林業と農業と小さな鉱山と中央からの支援で受けた工場などで暮らせてるらしく、小さな土地の維持のためにカツカツで人口が減らないように工業投資をしながらも、農地や林業にも投資せざるを得ないので中流程度の暮らしをしているのがわかっている。
軍艦が
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