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帝国兵となってしまった。
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魔導刃はときに一撃の威力を秘める。しかし、それは届かなかった。腕をそいつは犠牲にし、こちらの体勢が崩れたところでサーベル斬りつけると思いきや、回転させるように投げつけてきた。俺の帽子が真っ二つになる。

 「少しはやるようだな。ジャガイモ。お前の名前は?おっと、私の名前はエイドリー・カルトン・ディ・フィアルト。貴族をやらせてもらってる。そしてお前を殺す者の名だ。」
 中世の騎士のような名乗りをする。正直、気に入らないな。その上、飛んできた槍を構えて止まる。こいつ、強い。圧倒的な力を感じるがしかし。

 「戦いを楽しむような野蛮人には負ける訳にはいかないな。フリードリヒ・デニーキン・ジシュカ。単なる兵士だ。」
 こちらにも味方から武器が来るが‥‥何故、秋津島刀!?横を見ると投げてきた兵士が顔を輝かせている。いや、決闘とかしねぇから!?なんで、イスパニアの空で決闘するとかマカロニ・ウェスタンか?ドン・キホーテ的な失望もなにもねぇよ。

 「ほう、得物はそいつか。確か、カタナ。良質なカタナは魔力が乗りやすいと聞く。しかし、パイクの前では無意味。人類史は射程の歴史だぞ。小僧。」
 いや、お前の持ってるのもパイクより短い2mと少しぐらいの槍だろう。しかし、やるしかない。

 「お手合わせ願おう。アンクル・フィアルト卿。」
 槍と刀の戦いだが地上とは違い、360度全てに攻撃の余地があるのが空の上。であるならばより、射程は暴力と言える。

 こうやって時間を稼いでいるうちに秋津島兵が都市に入ってくれればよいが正直、勝てる気配がない。この爺さんの目は澄んでいる。純粋な戦闘狂に俺は勝てるかわからない。

 遠くから喚声鳴り響く。その距離と時間も二人で置き去りにし、武器を握り合う。これは戦争ではなく死合だった。

 遥かなるイスパニアの空はそれでも青さを俺と爺さんに見せている。この悠久の時を刻むがごとく、二人は刃を向け合う。まるでうぶな恋人たちの睦言とそれは似ていた。


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