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俺は空を飛び宙を舞う渓谷の緑を無視して碧の空に登っていく。それが合図のように彼女もついてくる。舞台が整ったとばかりに二人がこのイスパニアの空に、本来は自由なはずの空にただ舞い上がって行く。俺は当然、登り行くその一人なんだがはっきり言って辛い。空に登りながらもお互いに後ろを取ろうとクルクル回る。まるで二匹の龍がこの空を登竜門として上がりゆき、絡み合い踊るかのように。
情報は勝利をもたらす、武器を確認する。こちらもあちらもお互いに今、持っている武器は弾道が集束する武器ではない拡散系のもの、近中距離の散弾銃とサブマシンガンだ。お互いに決め手については詰まる所が近距離による乱射、一発で決めるには厳しい。そして、一番の問題はお互いが本気で撃ち合うのはまだその時ではない。怪物と呼ばれていてもあれ程の技を使った後だ、一騎打ちをしたのも魔力を回復させる時間稼ぎだろう。同時にプロだから予備タンクは必ず持っているしかしだ、逃げれなくなるほどの大技を繰り出すわけには行かないのだろう。
それと大技は神経を使うから隙になる。単純にこれは先に動いたほうが負ける。だから、牽制をしあい仕掛けるわけには行かない。このままではランデブーやツーリングといったような状態で、ただ二人で空を飛ぶだけなのだが、俺は目的の一つである戦車部隊を視界の端に捉えた。形でわかるあれはヘスラーの部隊だ。まるでアルデンヌの森を征くがごとく、木々の合間も無理に抜けて敵地を越えていく。踏破していく姿は陸の王者戦車とはよくいったもので俺の一騎打ちを受けたという陽動は成功だ。同時に渓谷の上にいたオルトー隊も損害なく、件のイスパニア共同体軍を捕虜にしているのを発見した。
だが、瞬間ヒヤリとして急降下する。しまったよそ見のし過ぎだ。太陽を背に銃弾がやってくるこちらはループとターンそしてバレルロールを繰り返し回避する。頭が膨張する感覚を覚えて身体を止める回避しようとした場所を見る。そうすると弾が飛んでいた。偏差射撃だ!そんなものを繰り返されたらターニャやメアリーでもアンソンなどでもない一般兵の単なる俺は撃墜されてしまう。
僅かな今の隙もかの怪物少佐と言われる彼女は見逃してくれなかったのだ。が、その後も蛇行させながら指切りをして精確に4点バースト射撃をして面攻撃の様に彼女は撃ってくる。脳内で背中に気配を感じながら銃声の回数から今飛んできた弾をカウントする。恐らく4回なので16発、相手のマガジンにはあと推定80発の弾しか入っていない。
そうであるならば、危険だがあと何回か誘って無駄撃ちをさせてやる。そうじゃなければ振り回される。手足を使って無軌道な右に左と回避をし、散弾銃を構えた。散弾ではあれに勝つのは無理だ。素早く装填された6発を撃つと重力に逆らいながら急上昇、相手は着いてくるので意表を
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