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ニア共同体軍の方からカンテラが薄暗い渓谷の中でチカチカと光る。モールス信号のたぐいだろうが轟音が聞こえた。
「これで終わりだ!」
轟音の音から放たれた熱量はそのままイスパニア共同体軍の基地を焼き尽くす。オルトーが成功したなと思うが虚しい。なんで、人は殺し合うのだろうか?イスパニアのこれが終わったら退役しよう。それにこの戦役でかなりの資産が手に入った。ダキアのときもだが紙くず同然のイスパニア共同体の紙幣を私物の物資と交換でかなり集められた。戦後の交換レート決定で紙くずの共同体紙幣は価値を取り戻すだろうし、戦地の軍票だって物で買い取っているそれらを換金すればまとまった額が手に入る。しかし、それでいいのだろうか?
俺は多くの人間が死ぬと知っている。なのに俺だけ逃げるのは卑怯者じゃないか?そうなのだろうか?教えてくれターニャ・デグレチャフ。いや、レルゲンか。俺は答えがほしい。
今、逃げ出したら周りにいる人間はどうなるのだろうか?わかっているが頭の中にダキアの出来事が蘇り、ある声が聞こえた気がした。(お前は戦争を楽しんでるんだよ!)という声だ。いつも戦いは突然だ。日常が幸せが常識が仕事もだ崩れるときは唐突に訪れる。
そして、土煙が晴れた今、目の前に立っている奴があの話題の街道上の怪物だと直感した。肌がひりつく。何人かの魔導師は悲鳴を上げる。桁違いなのはわかるが何より、アイツは帝国製の演算宝珠を着けていた。
そして見た目を見るにターニャではない。
「お前が街道上の怪物か?」
動く気がない彼女に俺は問いかけてみた。彼女は頭を横にしてから天を仰ぎ、考えるようにしてから口を開いた。
「そんな名前じゃない。マルフーシャ・エレイシア・チェン・ウー・メルキオット。今、確か単なる特務少佐?」
本人らしいが一切抵抗の様子を見せないが隙もないなんだコイツ!
「では、特務少佐殿。我々を通して頂けますか?」
俺が謙ると一瞬考えるためか顎を手で触ってからにこやかに告げてきた。
「帝国人の内、一騎打ちで私に勝てたら良いよ。」
いや、その‥‥今すぐに本国に帰ってターニャを見つけ出してぶつけたいがそれどころではなかった。わかるのは多勢に無勢!をしたら容赦なく渓谷でさっきのビーム攻撃をされて、こんがり焼かれてサヨナラだということだ。それに敵があまり前に出してこなかった理由はこの扱い悪さがあるからだろう。
「なるほど。わかりました。ご要望に答えましょう。フロイライン・メルキオットさん。」
さて、周りに引き連れてきた中でマトモに戦えそうな魔導師は居ないかと周りを見ると皆、こちらに対して尊敬の目を向けているものが多かった。しまった!あの回答だと俺が戦うといったも同然ではなかろうか?今更、撤回したいと言える
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