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帝国兵となってしまった。
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  「そんなことはない。私の心はここにある。あちら側にはないさ。」
 そうは言うものの内心、俺はかなりゲッソリしていた。否、ゲッソリしかしていない。どうしてだろうか一般人の俺がなんでこんな目に合うのかな。いやだが今こうやって、俺は後方にいるだけだが、この今にも兵士たちが長らく続く塹壕での戦闘の中にいる最前線に気持ちを馳せた。窓を見る雨が降っていた。

 そこは焼けたような土埃の匂いがする。塹壕から出た兵士が突撃と言われてわけも分からず進み、新兵故に乱射をする。それを止めるはずの軍曹なども皆新兵で木霊するように敵味方が射程圏も無しに撃ちまくる。そして、眼前に敵を捉えて両手にライフルを持った兵士が叫び声を上げて引き金を引くが弾が切れているから、そのライフルを捨ててお互いに殴り合う、その上を飛ぶパイロット達は敵味方関係なしに彼らに砲火を浴びせる。

 その舞台である当のイスパニア国民は安全で自分たちが関係ない戦場で野蛮人が殺し合ってるぐらいにしか考えてない。それにどちらが税金が安いかが彼らには大事なのだ。どんなに大義を掲げようが人々には暮らしがある。営みこそが、彼らの胃を満たしてくれるものが正義なのだ。

 「不思議だな。」
 誰もがイスパニアのためと言いながらも誰も市民の顔を見ようとはしない。自分の正義のために殉ずるのがかっこいいと言わんばかりだ。殉ずるのが正義なら残された者は悪で卑怯者か?しかし、親しいものはそれでも死んでほしくないはずだ。両側ともに誰かの子で、誰かの兄弟で、誰かの親で‥‥卑怯でも生きてほしい人間が必ずいるはずだ。身寄りがなくても友とかが待っているだろうになのにこうやって死に向かう。それを盛り囃し立てるマスコミ・メディアがいる。こうしている間にもそれに煽られた若者が死に、年寄りは長生きをし何も変わらないのかもしれない。

 しかし、若者にはない知見で年寄りは目に見えない形で若者を生かすのだ。真新しい情報はないがイスパニア共同体は死守命令を乱発しており、頼みの綱の同じ社会主義であるルーシーが帝国に対して宣戦布告をするという妄想に取り憑かれているらしい。それはありえない。ルーシーは今は粛清による立て直し期間であり、直接宣戦布告をされたならば戦うかもしれないが、決してする側ではない。まず、肥料や工作機械を帝国に彼らは頼っている。まだ5年計画の完遂はしていない。

 それにイスパニア共同体はルーシーの庇護下ではない。そして、同盟をしているわけでもない。結構な支援をしているので同盟を結んでいない相手に対する支援の義理は果たしている。肥料や工作機械ほどの重要度はイスパニア共同体にはないのだ。

 そんな話が出るのが末期の証拠であり、彼らが出すラジオからは、首都の近辺の街道を守る徴兵されたパン屋の娘が魔力を得て青く輝きながらイ
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