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き返しとけば問題ないだろう。
「もう辛いんだ‥‥立てない。もうどうしようもならない。俺にはできないんだ。俺は単なる有名になりたかっただけなんだよ。愛も知らないし、愛を受けた事はない。だから、地域を民族を愛していた。なのにどうして‥‥。やっぱり辛いんだよ。もう俺を楽にしてくれ‥‥もう駄目なんだよ。俺が、俺の、俺こそが悪いんだ。だから、俺を裁いてみんなを助けてくれ。俺にはもうできない。」
はぁ?たかがそれぐらいで甘ったれるんじゃないよ!俺が何回そうなりかけたと思ってるんだ!お前だけが逃げれるわけ無いだろう!逃がすか!
「つらいのか?だが、まだ足はある、手はある、口もある。無いのは勇気だけか?なら、まだやれるだろう?立てよ、リーニャ、お前は立たないといけない。あの爆発から決まったんだ!あの時から始まったんだ!だから、立てよ!みんなを‥‥ガスコ人が生きていていい地域を作るんだろう!今のままだとガスコ人はフランソワでも虐げられているままだ!お前が夢を見たのなら夢を走り続けろ!血を吐いても死んだとしても無理だとしても!リーニャ、君は戦士なんだ!力がない民ではない!戦士は戦士の義務がある!ガスコ人を連れて行ってやれよ!これは選択肢じゃない義務なんだ!もう一度言う、リーニャお前ならできる!」
リーニャを立たせてホコリを払う。目を見るとまだ迷っていたので顔に水をかけた。
「この水はこのイスパニアの大地で磨かれた水だ。君も今、大地に磨かれたんだ。迷うな!死んだあとに迷え!もう止まることはできない永遠に続く輪舞曲は流れた!しっかりしろ!」
そして、目が点になったリーニャに何かを食わせようとサンドイッチを手に取る。それを湯気に当てるとリーニャは声を上げた。
「俺はそのサンドイッチだったんだな。わかった。ガスコ人を‥‥世界を救いに行くよ!その先に何が待っていようとも俺は進み続ける。例え地獄に落ちようとも地獄ごと走り抜ければいい。死んだあとに死んだ人たちに謝ればいいからな。」
ふと、リーニャが見つめる窓の外を見ると晴れ渡る澄み切った空が見えた。
「いい天気だな。」
俺が言うとリーニャは笑いながら答えてきた。
「あぁ、早くこうやって空を見れればもっと色々と変わったかもしれないな。」
二人で窓の空を見つめた。次の場所は同じ空のもとにいるだろう街道上の怪物だ。途端に俺は笑ってしまった。なんで俺がこんな目に合うのか!一般的な日本人に過ぎないのにな!
リーニャは何を勘違いしたのか照れた目でこちらを見てきた。おっさんとボーイ・ミーツ・ガールならぬ、オールドマン・ミーツ・オールドマンだろ。青春がしたいのならターニャ捕まえてきてやるからな任せておけ。
一段落をしてパン屋の娘とは何なのかで俺の頭はいっぱいだった。
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