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帝国兵となってしまった。
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さないだろう。この戦いはすでに代理戦争なのだ。当事者も止まれない。この不始末を誤魔化すのには勝利で強弁するしかないだろうが彼らにはそれが希望に見えるが地獄だろう。

 「いえ、戦況が一変する情報があります。」
 俺がルテラ大尉の話をし始めると全員がことを察したのか皆、黙る。そして、ロメールが膝を打って立ち上がった。

 「このまま行くしかないようだな!」
 それを見たモーゼルも同調して、立ち上がる。シェルヒャーやらレルゲンなどの視線がこちらに注がれるが俺は知らないから、いや、なんでやると思ってるんだ?

 「なにか勘違いをしているようですが、やるためには機があります。今はその時ではない。まだ機は来ます。ルテラ大尉が合州国議会に登壇したあとの方が良いでしょう。政治的な理由から軍事的な理由を無視した戦闘が起こる瞬間はそこにあります。同時にそれが起これば奴らは兵士をすり潰す。そうなる前に共同体領地で反発が起きるでしょう。なぜなら、国際ボランティア旅団は民主主義です。民主主義を守るために来たといったのにそういった専制主義的な面を嫌うはず。そこにつけ込む隙が生まれます。いや、生まれないとおかしいのです。我々は別にイスパニア共同体の人間を、国際ボランティア旅団の人間を殺すためにいるのではありません。」
 そして、俺は立ち上がり、窓の前に立ち、彼らの侵攻計画を俺の最前線送りを止めるために言うことを決めた。

 「あそこの市場が見えるでしょうか?あの畑は?あっちでは子供が遊んでいます。あちらには老人たちが昼間からワインを呷っている。馬車に曳かれた郵便物を待つ市民もいる。我々がいる理由はこの風景を守ることにあって、無闇に誰かの子供で誰かの兄弟で、誰かの親で、誰かの恋人で、誰かの伴侶で、誰かの友人で、誰かの同僚で‥‥そんな人々を敵味方問わずに殺すことではありません。それに国際ボランティア旅団の面々は作家や記者などが多くいます。彼らが共同体の‥‥共同体の闇を本国で発表したら、それ以上の戦果はないでしょう。我々は軍人なのです。軍の人、つまりは人たるべきではありませんか?うまくやれば帝国を渦巻く悪感情を吹き飛ばすこともできる。」
 戦わなくてもいいのだ。大国がイスパニア共同体への援助をやめればこの戦いは終わるのだ。あとは一会戦の決戦になるはずだ。

 無用な犠牲は避けるべきだと思う。特に来年にはあの地獄が始まるのだから。

 「では、そこまで言うならばわかった。が、期限は帝国議会にかの大尉が発言した時までだ。議会の意向は聞かねばならない。各国で選挙が近いのだ。だからこそ、そのようなことをしたんだろう?中佐。搦手も使えるようだな。しかし、その我々は税金によって養われている番犬だ。政府の言うことを聞くべきである。そして、我々にも反共国際軍団という義勇軍の友
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