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帝国兵となってしまった。
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く見ると黒玉で出来た十字を下げて、割りと質の良いシャツを着ている。これが今の政権に資産没収された聖職者か一部貴族の末路なんだろう。

 あの全部の話を終える前に見せた目、あれは燃えるような情熱を秘めた目だった。ゆえあれば立ち上がるのだろう眼の前の老人も。ならば火種はどこにだってある。国が没収を連打するからこうなるのだ。

 馬車の外を幌の隙間から覗くとまさにきれいな真新しい四角に区画整理された畑の数々。それを見たときにゾッとした。

 日本ですら変形した田畑が多いのにこの四角四角した畑は所有者が変わったのを示す。それが続いているのだ。何人の農民や地主や教会の土地を奪ったらこんなにきれいになるんだろうか?

 まさにここは鬼の哭く国イスパニアなのだろう。そして、ここには世紀末救世主伝説などは存在しない。世紀末内戦か世紀末代理戦争が関の山だろう。やりすぎたのだ。真面目にナタを振りすぎて返り血で歴史書をかけるくらいやってしまった。なのに中途半端に優しくするからこうなる。しかし、これ以上やるのならば、ロマノフスキーの轍を列強は踏まないだろう。しかもこのイスパニア共同体の場所は大西洋から来る旧大陸の橋頭保にして、南方大陸への入り口で、アジアから地中海へ向かう運河への最終拠点であり、世界の要衝のカナリア諸島や地中海にどこでも軍艦を向けれるバレアスなどもある。

 地理的に見たときにイスパニア共同体は旧大陸から山で遮断された南方大陸の出島ではあるのだがそれ故に価値が高い。イスパニア共同体の持つ南方大陸での領土もフランソワなどから見ても美味しい位置にある。ゆえあれば、列強が介入してくる地理的条件は揃っているのだ。眠れる獅子と評されたりもするがいざ殴り合いを始めたら眠ったままに安楽死する豚扱いも珍しくない。

 それに完全な共和国がここで増えるのは帝国、連合王国、イルドアにしても面白くないのだ。それを見た過激派がいつ反乱を起こすかわからないからだ。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶまた未来は過去の延長線上にあると言われているが人はそれだけでなく、簡単に戦いを始める。故に止めなくてはならない。

 俺が早めに伝えに行って、連合王国と帝国が異変に気がついて海上封鎖をすれば内乱どころではなくなり、やめるだろう。仲介者としてフランソワやイルドアも呼べば4カ国の列強による無理矢理の仲裁でイスパニア内部の利権や権益は吹き飛ぶが平和が手に入るだろう。もしかすれば列強はメンツのために投資をするかもしれない。それに復興のための需要で逆にこの閉塞感が漂うイスパニアも意識が変わるかも。

 「全部、希望か。」 
 なぜパンドラの箱に希望が入っていたのかわかる気がした。そして、夜通し歩いた俺は再び寝た。しかし、ものだけは取られないように

 
 「あんちゃん、
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